第五十四話 正体を晒す・中編
「つか俺別に龍種の検診とかしたことないんだが」
「うぇ!?」
気付かれないと思っていたのかミライさん。情報をみれば分かるんだが……そういえばアカデミーでは誤魔化せているんだったか。じゃあばれないと思っていてもおかしくはないかもしれない。
「やっぱり人間とは違うんですか?」
「そこもそんな詳しくはないな。他種族の検診とは訳が違う、藍沢先生を呼んだ方が確実だ」
「残念ながら時間がありません」
「時間がない?」
「早くしないと勘付かれます」
「勘付かれる……ねぇ?」
レンリさんが眉を潜め、俺とひよりもまた口を閉ざしたな。寄って来たイデアにスミレを寄せればすい、とイデアがスミレを受け取り離れていく。れおもするすると地面に降りると、ミライさんの手を引いて少し下がった。
「皇」
「気配に異変はありませんね」
「ひより」
「魔術痕跡もないです。ただ、呪具の使用痕跡はありますね」
「そうか。じゃあ何らかの――――それこそ、完全に擬態できる特性持ちを利用して、お前はアラン・アンシエントに化け、此処に来たってこった」
気配に違いはない、だが、アランさん本人ではないと今なら断言出来る。ひよりは一歩下がり、俺は逆に一歩前に出ようとした。その瞬間、アランさんの姿を模した侵入者がレンリさんの首にナイフを突き立てる。
「レンリさん!」
「おっと、大人しくしてくださいね。こちらとしても余計な被害は出したくないので」
「……何が目的だ」
「彼女の身柄、それだけですよ」
「……」
「……」
「わ、私……?」
困惑するミライさんと、特段怯えもなくされるがままになっているレンリさん。何故ミライさんの身柄が欲しいのか、そもそもいつ入れ替わったのか……聞きたいことは色々あるが、このまま相手の自由にさせる訳にはいかないな。スミレ達はちゃんと後ろに避難しているので、出来るだけ刺激しないように対話を開始する。
「レンリさんを離せ」
「それは無理ですね。この場においてこの人を自由にすると、私の命はないでしょう?」
「死にゃあしねぇよ。ちょっと痛い目にはあうだろうがな」
「それも遠慮したいですね。それなら、彼女の身柄を持って手打ちとしませんか?」
「それはこっちにメリットがねぇよ」
「貴方が無傷でいられるという明確なメリットがありますよ」
その状況で会話出来るの、かなり豪胆だなレンリさん。俺としても出来れば穏便に事を収めたいとは思っているんだが……さて、どう交渉するべきか。
ここまで読んでくださりありがとうございます!
面白かったらブクマや高評価お願いします。喜びます。




