第五十話 信頼と疑念・後編
「それにしても……良く知ってましたね?実働部門に遣霊持ちがいるって」
「えっ!?」
「職員ならまだしも、一般的には浸透していないはずなので」
「わ、わー……!」
「誰から聞いたんですか?」
「え、えーと……!」
焦っているな。あまり明かしたくない理由でもあるんだろうか。俺が首をひねったタイミングで、ひよりはああ、と声を出す。
「大丈夫ですよミライさん。僕達が夜岸さんに頼んで、ミライさんを捻じ込んだので」
「えっ!?」
「あとご指摘の通り僕らは魔術部門の職員じゃないです」
「良いのか言って」
「良いと思います。最終的にはバレますし」
それもそうか。実戦で使えるレベルの魔力弾を撃てるのならば魔術部門に入るのは確実だろうし。そうでなくともアルカの存在がある。
「別に夜岸さんから話を聞いていても怒りませんし夜岸さんが不利になったりもしませんよ。純粋に気になっただけです」
「あ、はい、そうです……あかねちゃんから聞きましたぁ……」
成程、情報漏洩だと言われることを警戒したのか。正直そんなこと考えてもみなかった。ミライさんは憂いがなくなったからかちょっとだけほっとしたような表情を浮かべている。
「俺達は重戦闘区域の職員だ」
「えっ!?重戦闘区域!?」
「そうですよー」
「ど、どうしてそんな凄い人達が魔術部門に……?」
「色々ありまして」
そこははぐらかすのか。ひよりは邪気のない笑みを浮かべつつ、アルカをつつく。最初はされるがままだったアルカだが、何度目かでひよりの指を掴むと、口元に持って行った。
「わ、アルカちゃん駄目だよ……!」
「(んいー)」
「喉でも乾いたんですかね?」
「ああ、確かに気温が……やけに高いな?」
明らかに気温が上がっているな……三人にはここで待つように伝えて外に出る。扉の傍に魔術部門の先輩が一人いたので声をかけた。
「すみません」
「わぁ皇くん!?」
「気温が高くなっているようですが……」
「ああうん、見てあっち」
「?」
先輩が示した方には……無数の火球が見えるな。敵襲……という訳ではなさそうだが、想定された挙動でもなさそうだ。
「止めますか?」
「いや大丈夫、そろそろ慌てふためいたロイドが一気に水ぶっかけるから」
その発言の直後に火球と同じだけの水球が現れ、一気に破裂する。先輩の発言から察するに何度かあったのかこういうこと。
「とはいっても暑いのは長引くからねー」
「茶ヲノメ」
「あ、おばちゃん」
「水分補給ハ大事ダゾ」
「そうですね。いくつかいただいてもいいですか」
「ヨシ!」
おばちゃんからペットボトルを人数分受け取り室内に戻る。ひよりに外での騒動を伝えつつアルカにペットボトルを渡せば、ミライさんが飲ませていた。……ちょっと大きすぎたな、ストローを貰っておくべきだったか。
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