第四十九話 信頼と疑念・前編
ミライさんを促して射撃訓練を開始する。戸惑いは若干見られたが魔力弾の質自体は良いな。若干コントロールに難はあるが、弾速と耐久に問題はない。コントロールに関しても、制御が出来ていないというよりは判断が遅いためにずれる、というのが正確か。
「おおー」
「(すやすや)」
「ひより、その子供……」
「あ、はい。寝ました」
「寝たのか……」
やっぱりこの子供、スミレの同類なんじゃないだろうか。明らかに周囲への興味がなさすぎる。訓練を終えて戻って来たミライさんは慌てたように子供の顔を覗き込み、寝ているだけだと気付いて苦笑していた。
「アルカちゃん……いくらなんでも図太すぎるよ……」
「この子供、アルカ、というんですか。詳しい話を聞いても?」
「あ、はい。とはいっても……私もあんまり詳しいことは分からなくて……気が付いたら一緒にいたんですよね、アルカちゃん」
「…………」
気が付いたら、か。それだけ聞くとやはり遣霊に近しい存在に感じるんだが……やはり見えない、というのがネックだな。ユウヒのような種族的特性という可能性もあるにはあるんだが、その場合俺とひよりはともかく入江も見えたのが気になる。
「さっきミライさん以外で見えた人はいないって言ってましたけど、アカデミーって遣霊とかいないんです?」
「遣霊?は……みたことないですね」
「じゃあそこが違いですかね?」
「どうだろうな……確かに俺達の共通点はそこなんだが」
「え、二人は遣霊を連れてるんですか!?」
「……?」
ミライさんの大声に子供……アルカが目を覚ましたな。むにむにと口を動かしたかと思うとミライさんを見つけて小さな手を広げる。ひよりも心得たようにアルカをミライさんに寄せれば、ミライさんも受け取った。
「おはようアルカちゃん」
「(むいむい)」
「物静かですねぇ」
「アルカちゃん、喋らなくて……」
「スミレみたいだな……」
「?」
遣霊と言われたら信じそうだな。ぺちぺちとミライさんの頬を触ってる姿がスミレと被る。やがて満足したのかもぞもぞと居心地のいい姿勢を探ってからリラックスするように息を吐いた。
「あの……魔術部門の職員、なんですよね?」
「?」
「あ、すみません変なこと聞いて」
「いえいえ。……もしかしてですけど、遣霊持ちの職員について何か知ってたりするんです?」
「そんな知ってるだなんて……!ただ、実働部門の職員にしか遣霊は現れない、って聞いてたから、ちょっと気になって」
「そうだな」
実は今だと医療部門にも遣霊を連れている職員がいると聞いたら驚くだろうか。
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