第四十八話 蠢く”がい”は
「あれ入江くん、どうしたの?」
「ちょっと気になることがありまして」
「ふーん……?皇くん達は?」
「二人はミライさんの方に行ってると思います」
「りょうかーい」
魔術部門の人達と軽く会話をしてから人気のない方へ。こそこそと動いている気配を世界視で捉えつつ、通信を繋ぐ。
『入江か。どうした?』
「魔術部門から抜け出そうとしている透明の人物がいるんですが、どうします?」
『透明の……数は?』
「二、ですかね」
『両方捕縛することは可能か?』
「可能ではありますが……」
『アランに話を通して青藍さんに向かってもらう。気取られるなよ』
「分かりました」
青藍さんが来る前に捕獲してしまおうと一歩踏み出す。魔力でナイフを生成しつつ、狙いを定めて撃ち込んだ。牽制するように二発、残りの四発は出来るだけ気配の境界ギリギリを狙って服を巻き込む。
「っ!!」
「どこへ行くつもりですか?お帰りはあちらですよ」
……前回会った相手よりも気配が薄いというか、クオリティが高くなってる気がするな。……透明化のクオリティ向上って何……?
逃げ出そうと服を破られる前に双方の首を掴んで引き倒す。ちょっと遠かったからひやりとしたけど成功したな。ついでに雪代さんから渡されていた術式を起動する。
「お待たせ……ってなんかぐるぐる巻きにしてる?」
「あ、はい。逃げられると面倒だったので」
光る紐が虚空に巻き付いているのでどこにいるのかがすぐに分かる。雪代さん曰く普通に使うと強度が足りないらしいが……少なくともこの侵入者達は破壊出来ない様なので良しとしよう。
「それで……こいつら?」
「そうですね。どうします?」
「どうするも何も……どこに行こうとしてたんだろうね」
「出口じゃないのは確かですが」
「まぁそうだよね……まぁ一番可能性が高いのは…………重戦闘区域、かな」
「ああ……」
いつも通り、か。ただ魔術部門を乗っ取ろうとしていたのに重戦闘区域に潜入しようとしていたのは……まるで、最初から失敗することが分かっていたみたいだな。ただ単に複数の作戦を同時並行で実行しただけ、という可能性もあるけど。
「一旦持ち帰って情報だけ抜くかな……バレてないんでしょ?」
「その筈ですね。皇とテオさんが反応しなかったのは多分脅威じゃないと判断したからでしょうし……」
「うん?あの二人反応しなかったの?」
「はい」
「珍しいね?特に皇」
「そう……ですかね?」
なんとなく皇は気付いていても反応しないことがあると思っていたんだけど、そうでもないんだろうか。
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