第四十六話 魔術師とかたる・肆
「は、え……???」
「これで、満足ですか?」
小首をかしげるひよりとロイドさん。相手は全く理解が追い付いてなさそうだな。しきりに瞬きをしているのを横目に見つつ、訓練室から出る。
「そろそろ想定していた試験に移りたいんですが……よろしいですか?」
「っ何をする気だ」
「そんな警戒しないでくださいよ。練度と自衛のレベルを一気に知りたいので、ちょっとした射撃訓練を行っていただきたいと思いまして」
「射撃訓練?」
「ええ。なんのことはないただの射撃訓練です。……ちゃんと訓練していれば簡単でしょうね」
眼鏡の先輩は嘘は言っていない。ただ、相手の技量がどれほどか、というのは既に把握しているんだろう、一体何人が職員として認められるレベルの技量を持っているんだろうか。複数あるブースにそれぞれ入ってもらい、練度を一人ずつ確認する。
「皇」
「ん」
「ミライさんのブースに行ってくれる?……あの子供のことも気になるし」
「分かった。入江は?」
「俺はちょっと気になることがあって」
「そうか。ひよりはどうする?」
「僕も一緒に行きます。あの子供……なんか、遣霊みたいだったので」
ひよりも同じ考えだったか。ただ遣霊だとすれば他の人達が騒いでいてもおかしくはないと思っているんだが……まぁそれも含めて確認するべきだな。入江とその場で別れて俺とひよりはミライさんがいるブースに向かう。
既に魔術部門の先輩方が確認をしているようなので俺とひよりは端の方で様子を伺う。ミライさんは……最後尾にいるな、子供も相変わらず隣で眠そうに目を擦っている。
「……酷いな」
「そうですね……見るに堪えない、とは聞いてましたけど、ここまでとは」
魔力弾……というにはあまりにも形が歪、そもそも飛んですらいない。本当にこれで魔術部門に入れると思っていたのか?夜岸さんも一般人が実用レベルに到達している例はほぼない、とは言っていたが……思っていたよりも酷いぞ。
「……」
「……えっ」
「え」
ちょっと目を離していた隙に子供が傍に来ているんだが……誰も気付いていないのか?ひよりも困惑して俺と子供を交互に見やる。せめて魔術部門の先輩方の判断を仰ごうと思ったが、忙しいのか気付いてくれない。しょうがないので控えめに口を開く。
「……良いのか?抜け出して……」
「……?」
いや首を傾げるんじゃない。困ってるのはこっちなんだが。ひよりも真似するように首を傾げて俺を見てきているんだが……どうしようなこれ、挙句の果てに服を掴んで来たぞ。
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