第四十三話 魔術師とかたる・壱
程なくして職員候補となる人達が現れたので姿勢を正す。ひよりは少しだけ俺の影に隠れているが……まぁやっかみを受ける方が面倒だから良いか、と自己完結する。ロイドさんが代表と思しき人物と話しているのを確認しつつ、他の人達を眺めれば、人の中に例のミライさんを見つけた。
「……」
ミライさんの隣に……更に幼い人がいるな。ともすれば遣霊だと勘違いされそうなくらい小さいんだが……本当に遣霊ではないんだよな?ミライさんの服をしっかりと握りしめ、眠そうに目を擦っている。
「……?」
こちらに気付いたな。じっと眠たそうな瞳でこちらを見つめて来る姿に違和感や特異性は感じない、俺の視線がずれていることに気付いたんだろう、ひよりもひょっこりを顔だけを覗かせ……そして、不思議そうに首を傾げた。
『志葉さん、知り合いですか?』
『いや……やけに幼いな、と思って』
最小限の音量で囁かれた問いを否定する。知り合いではない、だが興味を持ったことは確かで、相手も俺を見ていることは事実だ。隣に立っているミライさんは緊張しているのか俺の視線には気付いていないらしい……そう考えるとあの子供は随分と余裕があるな。
『なんか……ひよりに似てない?』
『ひよりというか、テオに似てる』
『んい?』
本人に自覚はないのか。俺だけでなく入江も同じ反応を示したということは似ていることは確実だと思うんだが……見た目ではない、顔立ち……は、精々が雰囲気程度だとすると、気配が似ているんだろうか。断言するには少し迷うな。
「――――我々が勝った暁には、今魔術部門に在籍している職員全員、解雇させてもらおう」
「え?」
「えっ」
「?」
……なんだか、少し目を離した隙にとんでもない約束が交わされていないか?周囲がざわめきだしたことからも吹っ掛けて来たのはあちららしい……さて、こうなると少々俺達では力不足になりそうな気もするんだが。二人の方に視線を向ければ黙って首を振られる。
「……やるしかない、か」
「そうだね。別に名乗ったところでどうこう出来るほど俺達強くないし」
「少なくともほぼ全員僕達の術式起動出来ませんよ」
「じゃあ大丈夫……かな?」
雪代さんから渡されている術式を信じるしかないな。完全に予想外の発言をされてフリーズしたらしいロイドさんの代わりに眼鏡の先輩が代表者と言葉を交わしている。
「……」
ちらりと視線を子供へと向ける。依然としてこちらを見ているだけの子供は、一体何者なんだろうか。
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