第四十一話 確かめる・後編
医務室に入ると宇月と東雲が一緒にいた。それ自体は別に問題ないのだが、レンリさんが普段いる医務室にいる、という事実に面食らう。
「あ、レンリさん」
「お、どうしたよ二人揃って」
「ちょっと聞きたいことがあって」
「ん-?」
つかつかと大股で近寄って行ったレンリさんが宇月に何か話しているのを眺めつつ、東雲の様子を伺う。かなりリラックスしているように見えるな、今までと違って、気を抜いているように見える。
「あ、そうだ東雲さん、ひとつ聞きたいことがあるんですけど」
「はい?どうしましたかテオさん」
「実は東雲透さんって……かなり暴れてました?」
「暴れ……?すみません、私が知る透は基本的には平和主義の穏健派でしたが……」
「うーん?」
テオの問い掛けに首を傾げつつ返答する東雲。夜岸さんの発言を聞く限りどうやらただ穏やかな人物、という訳ではなさそうだったが。寧ろ穏やかに見えるのは上辺だけで、本質としてはかなり苛烈……少なくとも一種の強かさは持ち合わせていると思う。
「もしかしたら私の前では大人しくしていただけ、という可能性もありますが……流石にメリットがありませんし」
「格好つけたかった可能性はありますよ」
「かっこつけ!」
「ああ、可能性はありますね」
くすくすと笑う東雲。ここまで穏やかに東雲透の話をする東雲、というのは見たことがない気がするな……今までは苦しそうな表情を見せていたというか、出来るだけ感情を見せないようにしていた節がある。
スミレも普段とは違う表情だということに気付いているんだろう、どこか安心したように東雲の事を眺めている。東雲の膝上にいるとあも上機嫌なので、完全に吹っ切れた……とはいかずとも、東雲透という存在にとらわれてはいないらしい。よかった。
「因みに……どうして急に?」
「実は、魔術部門で東雲透さんの後輩だっていう先輩がいまして。その人が認知されてると厄介って」
「知り合いの先輩、と本人は言っていたが」
「成程……?いえ、私もアカデミー以降の記録は保持していないので分かりませんが……でもそうか、アカデミーでの記録……」
何やら考え込んでしまったな。真似をするようにゾエとれおは首を傾けて、テオは俺の方に視線を向ける。……流石に俺も何を考えているのか、までは分からないぞ。
「ん、泰誠、何考え込んでんの?」
「いえ……透のアカデミー時代について知る方法を考えてました」
「アカデミー時代?東雲先輩の?」
「ええと……はい」
「ならサボテンに聞けサボテンに。一番しごかれてたからなアイツ」
「そうなんですか?」
「おう。ちゃんと真正面からボコられてたぞ」
そういえばそんなことを根黒さんも言っていたな。成程、確かに穏健な先輩にしてはちょっと……実力行使をしている片鱗はあったか。
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