第四十話 確かめる・中編
「……げ、なんか人いるし」
「レンリさんおつかれさまでーす」
「おうお疲れ……」
「お疲れ様!」
「ああ、ゾエもお疲れ」
レンリさんはあからさまに嫌がるような表情を見せたな。そりゃ人がいるとは思っていなかっただろうから当たり前か。ゾエは特に気にしていなさそうだが……テオがいたこと自体は喜んでいそうな気配がある。
レンリさんとゾエの手合わせは、明確な決着はついたようには見えなかった。ゾエはレンリさんに詰め切れなかったし、レンリさんもまたゾエの足を止めさせることは出来ていない。爆弾がなくなったから終了……という風だったので、あのままなら接近戦に持ち込めていたとは思うが……そこからゾエが押し切れるかは別問題である。訓練室から出る前に長物は消してしまっていたので何を使うのかも結局分からない。
「つか珍しい面子だな?手合わせ?」
「そうです。華蓮とシリウスさんの」
「ほーん……え?」
入江の言葉にぽかんとした表情を浮かべるレンリさん。余程意外だったのか、確かめるようにテオに視線を向けている。こくりと頷きを返すテオ。
「外羽さん強かったですよー」
「そりゃ天使ならさもありなんって感じではあるんだが……意外だな、てっきり実力は見せたくないもんだと」
「いやまぁ、別に手合わせくらいなら……アーカイブは残してませんし」
「それならまぁ……?」
アーカイブが残ってなければどこからか情報が漏れる可能性もあるが、データとして残っていなければ確認しようがない。フィールドの設定を行ったのは外羽さん本人なので間違いもないだろう。それよりも、と外羽さんは言葉を募る。
「レンリさんも手合わせするんですね」
「いや普段はしない。ゾエが暇だってうるさかったから」
「?」
「本人無自覚ですけど」
「嘘だろコイツ……?」
そんなに騒がしくしていたのかゾエ。スミレも呆れたようにゾエの頭をぽすぽすと叩く。他人に迷惑をかけるのはいただけないな、自主練が出来るように教え込んだ方が良いだろうか。
「見た感じ爆弾使ってたけど、リソース補充は良いの?」
「あー大丈夫っす。あれ古いやつだから」
「在庫処分ですか」
「そうそんな感じ。湿気ると都合が悪いんでな」
やはりそうだったか。一度大きく伸びをしたレンリさんは、ゾエに視線を向けてこの後の用事を問う。
「俺はもう医務室戻るけど……お前どうする?」
「戻る!」
「あ、じゃあ僕も医務室行きます」
「おれも!」
「(ぶんぶん)」
「スミレも行くのか?」
「(こくこく)」
「じゃあ俺は戻ろうかな。そろそろアルマ戻ってくるし」
「だんなな?」
「ん、華蓮はどうする?」
「俺も……うん、部屋に戻るよ」
「じゃあ俺も一緒に戻るね」
テオとゾエは医務室、入江と外羽さん、シリウスさんは自室に戻るのか。スミレもどうやら医務室に向かいたいようなので、入江達と別れて俺達は医務室へと足を向けた。
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