第三十四話 怒りの理由・前編
「魔術部門滅ぼそうぜ。跡形もなく」
「今の魔術部門に何か問題でも?」
「いやアカデミーの方」
「残念ですが権限がありません」
「爆破許可をくれ」
「無理です」
魔術部門から帰って来たと思ったらご機嫌ナナメだねゆっきー。一緒について行った入江君達はちょっと困ったような表情をしてるだけで特に止める気はないみたい。
「何があったんですか一体。行ったのは魔術部門でしたよね」
「おう。行ったのは魔術部門だったんだが、ちょっとそこで納得いかねぇことがあってな」
「納得がいかないこと?」
「おう。魔術部門って一般人引き抜く時の方法がちょっと強引じゃねえか?」
「知りませんが……」
「ゆっきーゆっきー、アランがアカデミーの魔術部門について知る訳ないでしょ」
「そりゃそうなんだけど……」
「一先ず報告を。詳細は聞きますから」
アランが一旦ゆっきーを宥めて報告を促す。じゃあ俺はその間に入江君達から話を聞こうかな、と視線を向ける。うーん分かってても別人に見えるねテオ君、これだけ丁寧に誤魔化されるのも早々ないと思うよ。
「何があったの?」
「ええと……魔術部門にいるロイドさんが、魔力励起と言われて全身に魔力を流されたり、他の先輩方は怪異の群れに放り込まれたり……」
「え、なにそのいじめみたいな……いやいじめにしても質が悪すぎない?」
「ヒュリスティックに来てからは固まって動けてたから被害は少なかったって言ってました」
「つまり被害自体はあった、と」
「そうなんだよだから滅ぼそうぜ魔術部門」
「良く今まで出ませんでしたね、死人」
それは確かに。そんなことをアカデミーでしてたら怪我人どころか死人が出てもおかしくはないよね。ヒュリスティックでは逆に出ないだろうけど。
「あの、本来はどうやって魔力を励起するんですか?」
「あれ?皇くん知らないの?」
「お前やっただろ魔術部門で」
「つまり……魔力を流す?」
「あ、ちゃんと理解してない!?」
おや意外。てっきりちゃんと説明されているものだと。ゆっきーも驚いてたから実演したけど口頭説明はなかったパターンかな。入江君もそういえば……みたいな表情を浮かべてるからあんまり把握してなさそう。
「お二人共、魔術を初めて使うとき誰かと一緒に起動しませんでしたか?」
「確かに起動したな……」
「そうだね。確か最初は……華蓮と一緒に起動したと思う」
「魔術起動時に同伴することで魔力の放出を促してるんですよね、あれ。だから別に他の人の魔力が自分に流れてる訳じゃないんです」
「そうだったのか……」
「初めて知ったな……」
「まぁその辺りの細かい仕様とか、よほど魔力とか魔術に長けてないと分かんないからね」
逆に何でそういうのを知ってるのか聞きたいところではあるんだけど……あれかな、レンリ君かな。
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