第二十二話 合理判断による被害の軽視
「成程、アカデミーの生徒を……」
「おう。年齢的には問題ないから大丈夫だろ」
「年齢的には、ええ、そうですね。それ以外が気になりますが」
雪代さんから報告を受けたアランさんは特段驚いたりせずに納得を返す。夜岸さんの名前を出しても意外そうな表情をしなかったので把握はしていたんだろう、流石にアカデミーの生徒は把握していなかったのか、ミライさんの報告書を興味深そうに見ていたが。
「どうにかなるか?」
「どうにかします」
断言したな。問題はあるがどうにか出来る範囲……ということだろうか。多少の無茶は織り込み済みとみてよさそうだな、少し様子を見ておいた方が良いかもしれない。
「最低でも何人入れればいい?放っておくと多分一人しかいれねぇぞ」
「別に一人でもいいには良いですが……そうですね、ある程度催促が落ち着くのは五人程度、でしょうか……」
「五人か……まぁ、相手にもよるが厳しいだろうな」
「そうでしょうね。付け加えるとこちらからの要望を出せる最大人数が五人、というだけで実際は」
「あー……まぁそうだよな。……いっそ新設させろよ魔術部門」
「その場合現在の魔術部門が潰されるだけですよ」
「め、メンドクセェ~……!」
アランさんの言葉に雪代さんは頭を掻く。厄介……だな、どちらにしろ人は増えてしまうのか。折角のびのびと魔術の研究……としているのにな……そう思っていればアランさんが俺の方を向く。
「志葉さん」
「はい」
「出来ればこちらとしても魔術部門にはロイドさん主導であってほしいんですよね。そこで、少し提案があるんですが」
「提案……ですか」
「はい」
提案。……何だろう、とんと見当もつかないな。特に、俺が関与することで実行出来るとなると余計に。大抵のことはアランさんだけで事が足りるとなると……必要なのは人手か?アランさんは指を一つ立てる。
「少々手荒ですが、魔術部門の振りをして活動することで実力差を見せつけます」
「実力差を……?」
「リスキーじゃね?」
「だから志葉さんに頼むんです。正体不明、詳細も探ることは出来ず、万が一辿り着いても”アラン・アンシエントの部下”としか分からない」
「どう思う皇」
「どう、と言われましても…………強いて言うなら、一人だけで納得するかな、と思うくらいで」
「確かにそうですね。入江さんにも話を通してみましょうか」
「駄目だコイツら出来そうなことに対する躊躇いとかねぇ」
仮にリスクがあったとしてもリターンが大きいのなら躊躇う必要はないと思うんだが。今回は特に俺に被害がくるかもしれない、というだけなので。何ら問題はない気がするな。
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