第二十一話 事前講習
「おう皇、どうだった?」
「協力してくれるそうです。アカデミーから知り合いを呼ぶのと、カモフラージュのために数名増やす、と」
「お、思ったより協力してくれるな」
「はい」
「つまり責任者の座から退ける……!」
「いえ、アカデミーの生徒なので」
「続投ッ!」
「逃げられないねぇロイドくん」
「逃げられると思うなよロイド」
「そうだぞ仮に増えても続投だぞロイド」
「なんでぇ!?」
意地でも責任者の座から退きたいのか。そりゃあ本人が望んでなった訳でもないから遠慮したいというのは分かるが。
「生徒連れてくんの?かなり優秀じゃねえと厳しくね?」
「こちら詳細になります」
「ええと留年済……何でこの数値出せて留年すんの???」
「性格が穏健すぎて成績改竄に気付かなかったそうです」
「それはただのポンコツだろ」
そういう見方もあるが。先輩方もうんうんと頷いているので同意見らしい。
「つかそこまで穏健だと本人生きづらそうだな。ここに入ってもやっかみは多いぞ」
「他の部門から人は来ないから大丈夫では?」
「あれ今来てねぇの?」
「今はアランさんのお陰で人来ないんですよ」
「マジかよアイツそんなことやってんの?」
「表向きは経過観察ですけどね」
そういえばアランさんの部屋によく魔術部門の書類が来ていたな。他の部門に比べると多くて意外に思っていたんだが……あれは経過観察用の報告書だったのか。
「寧ろ心配なのは俺達のノリについてこれるかってことくらいで」
「フルスロットルで振り落としてそう」
「何ならおばちゃんの存在で全員帰ると思うよ」
「ワシ?」
「おばちゃんがいると日々の食事管理が楽になるから……」
「いつもありがとうおばちゃん……!」
「俺達の健康を守る守護神……!」
「ハッ!?おばちゃんに魔術部門の責任者になってもらえばいいのでは……!?」
「何言ってんだおばちゃんにこれ以上負担を強いるんじゃない……!」
「そうだよこういうのは製造責任者が責任を背負わないと」
「結局俺じゃねーか!」
放っておいたら際限なく話がそれそうだったので雪代さんが手を叩いて本題に戻す。とはいえ殆どやるべきことは定まったので……あとは当日までに動き方を決めておく、くらいしかないと思うが。
「流石に一人入れてはいおしまい、とはならないからあの魔術はマスターしてもらうぞ。使えて損はねえからな」
「ヒィン」
「ヒヒーン」
「誰だ馬になったやつ」
「じゃあ俺鹿になるね……」
「鹿ァ!」
「鹿が鹿って鳴く訳ねーだろ!?」
「おーし元気が有り余っててよろしい」
「お手柔らかにぃ……」
……元気だな。
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