第十七話 気付きと出会いと・前編
「やっぱ連れて来る?」
「無理だよともちゃん魔術部門の存亡とか興味ないし」
「俺達もあんまり興味ないよ」
「興味の無さが桁違いでしょー」
……誰だろうともちゃんって。話を聞く限り魔術部門の騒動には一切興味がないが、何らかの権限を持った人物、ということなのか?雪代さんも不思議そうに首を傾げ、ともちゃん、と復唱する。
「一応聞くけど、そいつってどういう奴?」
「あんまり魔術部門に興味ない」
「実力もあるし血筋もそこそこだけど態度がマイナス振り切ってたみたいで俺達のところにいましたー」
「ちょっとこわい」
「何か人を探してるみたいで、それ以外の興味が皆無」
「悪い魔術師ではないんです!ちょっと他者への興味が皆無なだけで!」
「大分上司に対するヘイトは高かったけど!」
「あと俺達のこともあんまり興味がないけど!」
「ほーん?」
かなりの偏屈者……と、いう認識で良いんだろうか。雪代さんもどう判断するべきか悩んだのか、俺に対して視線を向けて是非を問うてくる。
「……すみません、その人に会うことは可能ですか?」
「可能ではあるけど……ともちゃん今何してる?」
「いつものしてる」
「俺が案内して来る!」
「メシヲクエ」
「お、おばちゃんが差し入れでチョコケーキもってけって言ってる!」
「おっけー持ってく!」
態度に難はあるようだが不仲、という訳ではなさそうだな。純粋に興味を持たれていないだけなのか。人探しを目的としていて、他者に興味がない。……一体どんな人なんだろう。
「一応補足説明しておくと、会いに行くのは夜岸智代さん。あだ名はともちゃんで、アカデミーを首席で卒業したらしいよ」
「首席で……」
夜星さんの説明から思考を巡らせる。東雲と同様首席で卒業した……ということはかなり頭が良くて、且つ正しく実力が認められるような立場ではあるんだろう。その上で上司との折り合いが悪く……騒動に関与していたかもしれないという懸念すら抱かれないレベルで孤立していた?
「因みにこの部屋は主席特権で個室をもぎとったって本人が言ってた」
「話だけ聞くと割と強かな性格してるな、そいつ」
「人を探すのに遠慮なんかしてられないって言ってましたー」
「それはまぁ。……一理あるな」
「あるんですか」
「失踪するような奴は往々にして繰り返すからな」
遠慮なんてしていたら何度も逃げられる、ということか。……成程、それは盲点だったかもしれない。基本的に一度ちゃんと繋ぎなおせたらもう大丈夫だと思っていたので。
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