第十六話 人員不足故に・後編
「ちょっと皇、これ見てくんね?」
「あ、はい」
雪代さんに呼ばれて傍に寄る。なにやら二人の幻影……のようなものを出現させているな、それぞれの気配が違うので別人という扱いなんだろう、信用出来るのはどちらか、と問われたので気配が淀んでいない方を指さした。
「一応聞くけど根拠は?」
「気配の淀んでいない方です」
「気配ってどうやって見るの?」
「ばっか見るんじゃなくて感じるんだよ」
「気配って温度かなぁ」
「質量じゃない?」
「分からんぞ魔力かもしれん」
「魔力差異はないから多分違うよー」
気配とは何、か……。俺は気付いた時には当たり前のように感じ取れるものだったので何、と言われると困る。少なくとも魔力ではないという事だけは分かるが。
「夜星ーへーるぷー」
「んー?」
「気配呼んで気配。ある?気配」
「そりゃ気配はあるだろー?毎回言ってるけど気配ってそんな呼ぶものじゃないからな?」
「気配!」
「それはただの熱源」
……本当に何も分からないんだな。夜星さんはけらけらと笑いながらも二つの人型を見つめる。少しの間沈黙していたが、やがて手元に紙を取り出すと何やら書き始めた。
「んー……こんな感じ?」
「お、ちょっと見ていい?」
「お願いしまーす」
「ふむふむ……?おお成程、これなら確かに分かりやすいな」
「やったー雪代さんからのお墨付きー。てことではい」
「ほい」
夜星さんから何やら紙を受け取ったロイドさんは、そのまま魔術式を展開する。どうやら気配を可視化……するような術式だったらしく、二つの人型からオーラのようなものが立ち上がった。
「うわもやもや」
「湯気じゃんあれは」
「魔力じゃないのは分かる」
「色がちがーう」
色……は、夜星さんが気配を色で判別しているのか、それとも分かりやすいようにとわざわざ色付けしたんだろうか。片方は白く、もう片方は黒いんだが……確かに一見しただけで分かるから都合が良いのかもしれない。
「これを人数絞って起動させて……判別したとして、どうやって選ばせるか、って話だな」
「そうですね。俺達の意見とか知ったこっちゃないでしょうし」
「頑張れよロイド責任者だろ」
「無理だよじゃんけんで決めた責任者だもん」
「まぁここに限って言えば責任者より血筋とかコネの方が重要視されるからね」
「無理だよ俺達木っ端魔術師だもん」
「何言ってんだ俺達魔術師ですらないんだぞ」
「俺達ちょっと魔術が使える一般人だよ」
「世知辛いよこの世界」
「何言ってんだ人権があるだけマシだろ」
「言葉の重みが違いすぎる!」
……本当に大丈夫なんだろうか。
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