第十五話 人員不足故に・中編
「遠慮したいのは回し者と関係者、とはいっても基本的にアカデミーに通ってたらほぼどっちかだし、完全フリーの魔術師はヒュリスティックに来ない」
「詰んでる?」
「詰みかも」
「詰んだかぁ」
口々に詰みという言葉を発しながら雪代さんの話を聞く先輩方。フリーの魔術師……か、そんなのいるのか。それらしき存在を見たことがないから分からないが、ヒュリスティックに来ないとなると……面談相手はほぼ断るしかないんだろうか。
「とはいえ、全員断るだなんてことは物理的に不可能らしいし、権限的にも厳しいと思う。じゃあどうするか、っていう話なんだが。……マシな相手をスカウトするしかないんだよな、結局」
「無理だー」
「終わったー」
「どうにかするしかなーい」
「そうだなどうにかするしかないぞ。ってことである程度の見分け方を教える」
「わー」
見分け方……か。散々無理だなんだと言っていた先輩方だが、どうにかしたいという感情はあるらしくぶんぶんと腕を振ってやる気をアピールしている。魔術部門に入る職員次第ではかつての二の舞になりかねないからな……先輩方には是非とも頑張っていただきたい。
「オマエ、メシハクッテルカ?」
「え?はい」
「ホソイゾ」
「これは元からです」
雪代さん達を見ていたら近くに寄って来ていたおばちゃん、と呼ばれているロボットに話しかけられる。そんなに細く見えるんだろうか、アランさんも似たようなものだし、入江も筋肉がつきづらい体質らしく細いんだが。
「おばちゃん、皇くんを困らせちゃだめだよー?」
「メシヲクエ」
「んふふ」
明らかに誤魔化したな。ちゃんと困らせている自覚があるのか。そこまで困っている訳ではないが……まぁ、絡まれていたのは事実なので何も言うまい。
「夜星さん」
「んー?」
「良いんですか、あっちにいなくて」
俺が雪代さんの方を示せば、夜星さんは再び軽く笑ってから隣に椅子を持って来て座る。夜星さんも魔術部門の職員である以上魔術師のはずなんだが……立ち振る舞いがどことなく実働部門寄りなんだよな。
「俺一応まだ動ける職員だからさ、多分見抜く方じゃなくて護衛になるんだ」
「護衛……ですが」
「そう。ほら、魔術部門の職員って大体戦闘能力が皆無だから」
「そう……なんですか」
多少の自衛は出来ないと厳しいんじゃ……と思ったが、そもそも実働部門以外では戦闘能力を必要としていないので有り得るのかもしれない、と思い直す。寧ろ夜星さんがそれなりに動ける方が珍しいのかもしれないな。
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