第十二話 説得と、切欠と
「あ、大雅だ」
「たぁが!」
「おや青藍さん……と、冬音さん?どうしたんですか?」
「ちょっと手合わせする必要があって」
「手合わせ?」
俺が、というか冬音が、だけど。言葉だけで納得するような奴じゃないからね、一旦実力差を知らしめる必要があるかなって。
「何か冬音が職員になりたいから俺と戦いたいんだって」
「え、蛮勇……」
「たおす!」
「待ってください冬音さん、幾らなんでも無謀ですよそれは」
「すぅ!」
やるきだけは一人前なんだよね。俺になら勝てると思ってるんなら大分こう……舐めてるなって思うし、そうじゃないんだったら一体何で俺を選んだのか小一時間問いただしたい。
「大体年齢が若すぎるっての。夏音でもギリだぞ」
「最低でも特性が発現してから、ですもんね。それでも早いという認識ですし」
夏音はホムンクルスだからその辺りが非常に曖昧なところではあるけれど、一応戦闘は出来るし公に出来る存在ではないから消去法で職員になってもらってる。どうにかしたいのは山々なんだけどね……一般区画に連れて行ける存在でもないし、弟達の存在も加味すると実戦形式で良いから経験積ませて自衛が出来るようになってもらうしかない。保護当初に比べれば大分メンタルも落ち着いてるし、支部に行っても戦えるだけの実力は備わって来てるけど。それを冬音が理解出来るか?っていうと話は別。
「んー!」
「ま、一回戦ってみれば納得するでしょ」
「実力差があり過ぎるのでは……?」
「手加減するよ流石に」
「たおす!」
「落ち着いてください冬音さん、青藍さんは実力が離れすぎています」
「……つよい?」
「はい、とても。私でも勝てません」
言い切るんだ。大雅とはそこまで実力差はない、と思ってるんだけどな……そりゃ負けるとは思ってないし勝たせる気もないにはないけど、万が一はある。
「どうでしょう冬音さん、まずは訓練プログラムをやってみて実力を測る、というのは」
「ぷー……?」
「さっき言ってたやつ。職員になりたいんだったらせめて六くらいはとらないと」
「……」
さっきは聞く耳を持たなかったけど、大雅の言葉に一理ある、と判断したかな。それか大雅も俺に勝てない、と聞いて怖気づいたのかもしれない。一発で聞けと言いたいところではあるけど、掘り返してやっぱり戦う、とか言われても困るから黙っておいた。
「ところで冬音さん、どうして青藍さんと戦ったら職員になれる、と思ったんですか?」
「いてた」
「いて……言っていた?」
「ン」
「……誰が?」
「?くろいの!」
黒いの……?ちょっと待って、それ誰?
ここまで読んでくださりありがとうございます!
面白かったらブクマや高評価お願いします。喜びます。




