第十話 あれは夢か幻か
「たぁてぇ、てんい!」
「そうだね、元気になったね」
「元気にはなったけど、思い切りが良すぎじゃない?」
「モトカラモトカラ」
「もとから~」
元からかな……?ふよふよと上空に浮かぶワカバにじゃれつくラリマーと、そんな二人をにこにこと眺めつつとあを撫でるウロ。俺の膝上で謎にバウンドしてるうぱーを地面に置けば、勢いよく走って行った。……まぁいっか。
移籍準備やら後始末やらで職員全員が忙しいから、という理由でちょっと小さいのをまとめて面倒みてるウロ達。俺はうぱーが脱走しないための監視役。スミレみたいに寝ててくれるなら楽なんだけどね、うぱーは走り回ってるしみうとリアは隣で本を読んでるし、れおは何故か逆立ちしようとして転がってる。何してんだ本当に。すももはソウの部屋から出ないからここにはいないよ。レンはというとラリマーの肩に乗ってご機嫌そうに鼻歌を歌ってる。
「東雲と宇月も移籍かぁ……よく藍沢先生が認めたよね」
「アイザワセンセイトメルカ?」
「止めるかー?」
「止めないか……」
「基本放任主義だからね、藍沢先生」
放任……は、してるか藍沢先生は。面倒見は良いけど過保護ではないからね藍沢先生は。若干の放任主義なのは良く分かる。
「ムシロアランガヨクミトメタナ」
「止める理由がなかったんでしょ」
「不本意?」
「どうなんだか。仮に不本意だったとしても俺達に言うとは思えないし」
アランは強情だからね。ワンチャン皇相手か……リアムになら開示するかもしれないけど、俺達がそれを知る術はない。
とあの頬をついついとつついたウロがゆっくりと目を細めている。その仕草に嫌な予感がしたんだろう、みうが小さく声を出して俺にくっついた。みうの動きに気付いたのかうぱーが走って来て……勢いよく頭突きしてきたので捕獲しておく。
「望んだ結末は、見れたかな?」
「……んー?」
「ウロ、何の話?」
「ちょっとね。わざわざ入江くんにちょっかいかけてたみたいだから」
……本当に何の話だろう。何か知ってるかと思ってみうを見たけど、にこやかに目を逸らされた。……絶対なんか知ってるな。
「たんとーと?」
「ふふ、誤魔化さなくていいよ。別に本人達に言うつもりはないし」
「……たんぇ?」
「俺、ちょっと目が良いんだよね」
「チョットデハナイ」
「ちょっとどころではない」
「ウロのそれって目が良いで済ませていいラインではなくない?」
どう解釈したら目が良い、で済ませられるんだよ。見えてるものの大部分が違うって聞いたことあるんだけど。
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