第八話 入れ替わり(未遂)
「うわしょげてる。分かりやすく萎びてるぞこいつ」
「え、これ大丈夫?休息日いる?」
「大丈夫です。問題ありません」
問題しかないよねこれ?俺とゆっきーが目視で分かるレベルの気落ち具合だよ、これを問題なしと断じるのはちょっと無理がある。本人強情だから絶対認めないけどさ。
「まぁ本人がそういうなら良いけど……え、本当に大丈夫だよな……?」
「駄目そうだったらちょっとリアム呼んでこようかな……」
ゆっきーとこそこそとないしょ話してたらアランがちょっとだけジト目になったね。まぁ今はアランのメンタルについて話しに来た訳じゃないし、本題に戻ろうとゆっきーがひとつ咳払いをする。
「今回の騒動中に乱入して来た……宇月の肉体に入って来た魂の詳細について、だが。単刀直入にいうと監視用だった」
「監視用……ですか」
「そう。情報収集用に割り切られた個体で、周囲の音を聴く以外の用途がまるでない。なんなら情報送信するための座標も持ってなかった」
「それで……何をするんですか?」
「そこなんだよな。座標なしで帰還なんて無謀にも程があるし……」
監視用、ならどこかに情報をフィードバック出来ないと意味がない。情報を集めるだけ集めて放置……っていうのは考えにくいから、重戦闘区域に”回収”しに来る、という可能性を考慮する必要がある。ただ、そうなると重戦闘区域に出入りする誰かが犯人になる訳で……。
「アランアラン、直近で重戦闘区域に来訪予定の人物とか、分かる?」
「直近ですと……まぁ、支部の合同会議があるので、責任者と護衛が二、三名、ですかね」
「じゃあ支部から来る誰か?」
「……支部にいる、という可能性は高いですよね。少なくとも関係者は」
責任者がそう、という可能性は低いけど、護衛が違うという確証は持てない。人が増えるってことは青藍のセキュリティをかいくぐる手段が増えるってことだし。あいつ人数とかちゃんと把握してないもん。
「その監視用の存在は、どこに?」
「今は完全密閉して保管してある。取れる情報はないけど餌にはなるかもしれないからな。能力自体は無効化してあるから安心しろ」
「助かります」
ゆっきーが優秀で俺も嬉しいな。そんでもって優秀であればあるほど最初の時点で見抜けなかった事実が重くなってくるんだよねぇ……気配察知にかけては上位に位置するであろう皇君も気付かなかったし。
「その監視用の魂さぁ、偽装技術に関してはどうなの?」
「あー……違う違う、偽装とかしてないんだよシンさん。そもそもこれ、余計な機能がないから気配とかないの」
「あ、そういう……?」
「うん。絶対回収すんのも一苦労のはずなんだよな。だから……俺が知らない何らかの方法でこれを見分ける、追跡する手段があるのかもしれない」
「それは……厄介だね?」
「ああ。だからちょっとアランに提案があるんだが…………」
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