第五話 事の次第と、この先と・後編
「レンリさんって、ブックさんと知り合いなんですか」
「ブック教授って元はアカデミーの教師だぞ」
そういえばそんなこと言っていたな。ヒュリスティックで職員を募集し始めたことにやってきた、とも。アカデミー時代の知り合いでも何らおかしくはないのか。
「あの人生徒使いが荒いっつーか……結構冗談抜きに優秀ではあるんだけど、容赦なく歴史文献の修復に駆り出してくるんだよな。俺達当時学生だぞ?」
「ほへー」
「ほへー」
「まぁそんなことは良いんだよ。ブック教授が過激というか抜けてんのはいつものことだから。んで?テオの方はどうだったんだ?」
「憑依型ですか?」
「そう。事後処理があるってことは何らかの懸念あるいは疑問があったんだろ?」
「ええとですね、あいつら、同一個体でした」
「同一個体……てことは、特性の範囲内?」
「だったんですけど、途中で単一個体になられちゃって」
「その後俺が戦ったときは同一個体のままでしたね」
「ほーん……ちょっと知能が高すぎるな」
レンリさんも同じ意見なのか。思案するように視線を一瞬彷徨わせたが、先にテオの方が口を開く。
「はい。しかも同一個体であることが憑依の条件だったみたいですよ」
「……厄介だな。アラン職員はなんて?」
「報告はするけど、現場にはアランさんが話を通すことで誤魔化すって言ってました」
「まぁそれが一番安全か。レイスから人が分散してる以上、下手に周知すると動向がバレるからな……」
「……レンリさんも犯人は支部にいる、と?」
「主犯はともかく関係者はいるだろうな」
……アランさんと同じ判断だな。一体何をもって判断を下してるんだろう。スミレは怪異についてはあまり興味がないのかゆらゆらと揺れながら俺にぶつかってくる。
「何か気になってんのか?」
「いえ……強いて言うなら、どうしてアランさんもレンリさんも研究部門ではない、と言い切れるのか気になって」
「いや俺は言い切ってはないけど……まぁただ、憑依型が研究部門じゃない、っていう点については俺も同意見だな。仮に研究部門だった場合、遠距離を無効にする意味がない」
「どういうことですか?」
「一応いるんだよ、研究部門にも戦闘出来る職員が。そいつら全員遠距離特化でな、例の怪異と交戦して全滅してる」
「全滅……」
「ああ。そりゃもう完膚なきまでに」
そうだったのか。意外……とはいわないが、わざわざ自分の部門を危険に晒す必要はない……筈なので本当に無関係とみてよさそうだ。勿論わざと、の可能性もゼロではないがアランさんとレンリさんが揃って違うと断じたのならあまり考慮しなくてもいい気がするな。
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