第四話 事の次第と、この先と・中編
「レンリさー……あ、月野さん寝てる」
「おう寝てるよ。静かに入っておいで」
「はぁい」
テオが声のトーンを落とせばゾエも自然と静かになる。スミレはそもそも喋らないのでレンリさんも何も言わなかった。
ソファにあるこんもりとした山が月野さんだろう、その奥にいるのはユウヒか。レンリさんが黙って診察時に使う椅子を示したので揃って座る。テオも流石に膝上に座るのは止そうとしたらしいが、ゾエがさも当然と言わんばかりにテオを乗せたまま首を傾げたので諦めていた。
「後始末も済んだのか?」
「はい。ちゃんと確認もしましたー」
「そいつは上々。こっちもシリウス……だっけ?あの元天使の方の話は聞いて、一旦結界の強化は実行した。まぁアルマ職員の方が剣だってんなら杞憂だろうとは思ってるが……警戒はするに越したことはないからな」
「そのシリウスさんは?」
「外羽華蓮と話してる。天使同士積もる話もあるだろ」
「成程」
「(ほーん)」
スミレも会話に興味があるのか。珍しい……訳でもないが、何か気になることでもあるんだろうか。羽根を手折っている以上何かが起きるとは思っていないが、あとでアルマさんとは話すべきだろうか。いや、結界関連なら雪代さんの方が良い……のか?
「東雲さんは?」
「宇月職員が説得してる。問題にはならないし、これ以上引きずられることもまぁ……多分ない」
「あの状況でどうにかなることってあるんですねぇ」
「宇月職員は状況をしっかり把握してたからな。説得する材料があったらどうにかなるだろ」
「そういうものです?」
「そういうものだよ」
「宇月って多分……」
「ん、気付いてたか。そうだな、あの二人、番だろ」
やっぱりそうなのか。流石に確信をもつだけの証拠がなかったので本人達に聞くことはなかったが。テオもおーと平坦な声を出しているので恐らく気付いていたと思われる。
「本人達……宇月職員の方に自覚はなかったみたいだけどな。東雲職員の方は知らん、あそこまでちょっかいかけておいて知らぬ存ぜぬは無理だと思ってるが……類を見ないほどのクソボケ、っていう可能性もあるもんで」
「自覚があっても見ない振りをしている可能性もありますもんね」
「見ない振り?」
「そうですよー自覚したら止まれなくなるからって。特別だって決めるとそれ以外が許せなくなっちゃうんですって」
「ユルセナイ?」
「流石に極論だよソレは。どこで聞いたんだよそんな暴論」
「ブックさんが言ってましたー」
「あーブック教授ね……確かにあの人なら言うだろうな……」
……知り合いなのか?
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