第二話 現場での情報共有(後編)
「東雲さんについては……もう、解決しましたか?」
「どう……でしょう。なにやら宇月さんが情報を得ていたようなので、あるべきところには収まると思っていますが」
「まだ完全収束ではないので完全に吹っ切れることは……」
「まぁ、厳しいでしょうね」
とはいえ安定するだけでも充分な成果ではある、か。あれだけの痛手を喰らった状態でそうそう二度目を起こすとは思えないので。
「宇月頑張る?」
「宇月以外も頑張りはするが……一番影響を及ぼせるのは宇月だろうな」
「宇月頑張る!」
「元気ですねぇゾエさん」
「俺元気」
元気な方がこれからのことを考えると都合が良いんだよな。アランさんも笑みを軽く口角に乗せるだけで特に気にしている様子がない。
会話しながら進むこと数分、何の脈絡もなく現れた気配に俺とゾエが反応、アランさんはゾエを手で制し俺に視線を向けたので、頷きを返して一気に加速した。
件の憑依型なので本来ならば遠距離で叩くのが定石、しかし視点を切り替えた上で重幽撃を起動、勢いをつけて伸びている糸……恐らく同一個体としての繋がりを叩く。
「検証します!」
返す刃で一閃、このまま憑依されれば無意味、ということになるが…………読み通り、俺に違和感や特別変化はなく、そのまま怪異は霧散した。
「……成程」
「同一個体であることが憑依としての条件でしたか」
「そうみたいですね」
「怪異の振る舞いにしては……」
「ええ、異質です」
多少の知能はあれどここまで特殊技能頼りの怪異というのは有り得ない。特に人を識別している辺りが特に。わざわざタイプを切り替えるような知能がある怪異がいたとしたら、それは裏に人間の悪意が介在していると言っていいだろう。
「これも報告を……?」
「する……前に擦り合わせは必要ですね、現場には直接注意喚起するということで大々的な発表は控えてもらって……それで、どこまで誤魔化せるものか」
「いますかね、支部に犯人」
「主犯はいなくとも、関係者はいそうなんですよね。レイスの解体時点で人が分散されているので」
「確かに」
「……研究部門が犯人、ではない?」
「可能性は低いと思います」
断言したな。研究部門ではないと言い切れる理由……俺はあまりピンと来ていないが。テオは特に気にならなかったのかふうん、と小さく息を漏らして視線を外す。
「さっき倒したので怪異はいなくなったみたいなんですけど、どうします?」
「では戻りましょうか」
「はぁい」
「はーい!」
「分かりました」
怪異がいないなら情報精査の為にも戻るべきだろう。ゾエが走り出せば自然と距離が離れて俺とアランさんだけになる、静かに名前を呼ばれたので、視線を向けないまま返事した。
「次にあの怪異と出会ったとき、二撃で倒せますか」
「二撃で……切ってから、ですか?」
「そうですね、出来れば」
「分かりました」
……炙り出しでもする気なんだろうか。
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