第一話 現場での情報共有(前編)
アルマさんとシリウスさんを見送り、後始末をしながら移動する。ヘブンを越えてレイスの方に足を踏み入れたタイミングで、ゾエに抱えられたテオと合流した。
「お疲れ様ですテオさん、ゾエさん」
「お疲れ様ですアランさん、志葉さん」
「ああ、お疲れ」
「お疲れ様です!」
ヘブンに怪異はいなかったが、レイスに踏み込んだ途端怪異がぽつぽつと散見されたのは偶然ではないんだろう。一応の事態は収束したもののまだ影響が残る、少なくとも完全解決とは相成っていないのが原因か。さっと状況の共有だけをしてから移動を開始する。
「憑依型についてなんですけど、アランさんの言っていた通り普通の怪異じゃなさそうです。途中まではダメージを共有してたみたいなんですけど、途中で単一個体化したんで」
「そうですか。ということは……どこかで解析を行われている可能性がありますかね」
「はい。少なくとも僕の攻撃は単一個体化する、という認識をされたと思います」
「成程……裏を返せばテオさんを認識していないときは同一個体である、と?」
「恐らくは」
「分かりました。もう少し検証は必要ですがどうにかなりそうですね」
どうにかなるのか。まぁ相手が対処をした、という事実とそこでそのまま単一個体化するのではなく同一個体になる辺り何らかのメリットがあるんだろう、というところまで分かるので情報としては充分なのか。
「その他の異変は」
「数以外の異変は何も。分布に偏り等もありませんでした」
「ふむ。……誘導だけ、ということでしょうかね」
「少なくとも変異を促したりはしてませんでしたよ」
「怪異弱かった」
「まぁそりゃゾエが苦戦するような相手は早々いないと思うぞ」
「いない?」
「ああ」
ゾエが苦戦するということは俺やテオも苦戦するということだ。襲撃者ならいざ知らず、通常の怪異で苦戦することは早々ない。
「今回の騒動、どうやって報告するんですか?」
「そうですね……シリウスさんの存在もありますし、少々隠蔽は必要でしょうね。特に、研究部門に知られると更に厄介なことになりそうなので」
「しりうすさん」
「ヘブンの地下にいた天使だ。……今は元天使、になるのかもしれないが」
「?」
「アルマさんの番ですよ」
「つがい!」
番の方がゾエにとっては身近だったか。ゾエの中で納得がなされたなら別に何でも良いんだが……そう言えばなんでずっとテオを抱えているんだろうな、ゾエもテオも何も言っていないので気にしていなかったが、何か意味があるんだろうか。
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