第九十話 何故二人は別たれたのか?・後編
「師匠を生贄にして……シリウスさんを降ろしたの?」
「まぁ、そうなるな」
「何で?」
「天使だから……じゃないの?まぁ何で俺を指定してたのかはよく分かんないけど……」
「指定されてたんだ」
「うん。だからアルマを使ったとも言われたし」
「……改めて聞くと腹立つな」
「俺だって腹が立ったよ」
わざわざシリウスさん……”純愛の天使”を呼ぶ意味。何か意味はあるんだろう、それが理解出来る範疇にあるかは別として。なんとなく全員同じ結論に至ったのか、それとなく視線が逸らされる。
「その村ってどうなってるの?」
「滅んだよ」
「生き残りは?」
「いないね。強いて言うならアルマ」
「俺あの村出身じゃねえよ」
「じゃあ人間から狙われることはない?」
「多分」
青藍さんの質問にすらすらと答えていくシリウスさん。村が北にあった、っていうのとシリウスさんの封印場所から滅んでいることは分かっていたけど、生き残りがいないと断言出来るレベルなんだ。あのシリウスさんの苛立ち方を見るに滅ぼした本人でもなんらおかしくはないな。
「アルマは何で俺を呼ぼうとしてたのかって知ってる?」
「あー…………何だったかな、忘れた」
「えぇ?」
「けどもう一度呼ばれることはねぇから安心しろ。それだけは断言する」
「ふうん……」
「…………」
何か、アルマさんは知ってそうだな。少なくともシリウスさんに知られたくないから言葉を濁したように思える。流石に不利益を被るような秘匿はしないと思ってるけど……どうだろうな、アルマさんにとっての最優先はシリウスさんだろうから、俺達に配慮してくれるかは分からない。
「……一つ、聞きたいんだが」
「何だ?」
「直接的な関係はないんだが……話から察するに、そちらのシリウスは地上にいなかったんだろう?それなのにアルマと交流があったのか?」
「うん?アルマの前には姿を現してた、とかじゃないの?」
「いや違う。俺も直接会ったのはあの生贄にされかけた時が初めてだ」
「どういうこと?」
「まぁ……俺は、天使だからね」
「???」
天使だから……天使だから?今一つ状況が呑み込めず全員が首をひねる。天使であることと直接的に会っていないことの何が関係あるんだろう。
「こう……幽体離脱みたいな感じで、魂だけ」
「魂だけ」
「よくそんなの出来るな……存在強度強い相手がいたら吹っ飛ぶでしょ」
「うん。何回か吹っ飛びかけた。けどお忍びだったからさぁ」
「こんなこと言ってるけど俺と一緒にいれるんだから大概の存在より上だぞコイツ」
「まぁそうだろうね」
「師匠より存在強度が高い相手っているの?」
「アランとか皇」
……あの二人、アルマさんより存在強度が高いんだ……。
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