第八十八話 何故二人は別たれたのか?・前編
「改めて、俺はシリウス。元純愛の天使だよ」
後処理があるから、という理由でアランさんと皇は不在だが、アルマさんとシリウスさんは先行して重戦闘区域に戻って来たので情報整理も兼ねて自己紹介をしてもらう。長時間の戦闘をこなした根黒さん達は休憩しており、話を聞くために集まったのは俺と青藍さん、天音くん、リアムさんの四人だ。テオさんとゾエくんは残党確認のためにまだ巡回している。夏音くんは月野さんと一緒にレンリさんに連れられていった。
「純愛?」
「うん。私欲に走らない、純粋な心を持った天使。俺がそうだったのかは知らないけど、定義的にはそう」
違うかもしれないって思ってるんだ……どことなくシリウスさんは冷めているというか、全体的にどこか他人事なんだよな。地下で一緒にいたらしい夏音くんも言ってたから多分気のせいじゃない。
「師匠の番」
「ああ。……取るなよ」
「ごめんちょっと今アルマ錯乱状態だから」
「俺は正気だが?」
「多分弟子であろう子にそんなこと言ってる時点で正気じゃないでしょ。え、アルマに弟子?」
「星海天音です」
さらりと天音くんが挨拶をすれば、困惑しつつもシリウスさんは会釈を返す。アルマさんも本気で取られるとは思ってない……少なくとも本気で警戒している訳ではないと思うけど、視線が怖いな。
「俺達からしてみればアルマが剣だった方が衝撃的なんだけど……」
「わざわざいう意味もないと思ってたからな」
「アルマってそういうとこあるよねぇ」
ちゃんと自覚がある上で情報を伏せられたら推し量ることすら出来やしない。ただ、アカデミーでの騒動時にやけに上位存在への対処に慣れがあったから……うん、俺は気付く余地があったな。
「剣って言ってたけど、名称は?」
「彼焉」
「は!?」
「彼焉?」
聞いたことあるような、ないような。青藍さんの反応を見る限りかなり有名……なのかな。天音くんは言葉を反復したもののいまひとつピンと来なかったのか首を傾げている。
「待って、お前だったの!?」
「知ってたのかよ」
「いや、最近判明したってことはアランから聞いてたけど……!」
「判明?」
「最近歴史資料の修復が為されて判明したんだよね」
そうなんだ……ああ、そういえば何か月野さんが言っていたような気がするな……?なるほど、だから覚えてたのか。
「師匠ってすごい人だったの?」
「まぁ……脅威認定されて封じられるくらいには」
「封じられてたんだ……」
「でも俺と会ったときには普通に歩き回ってなかった?」
「お前と会うちょっと前に封印が解けた」
「そうなんだ」
そんな都合のいいことがあるんだ……そもそも何で封印が解けたんだろうな、その辺りは喋るつもりがないのか、アルマさんは流れるように話題を変えた。
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