第七十六話 対価を捧げ、道を拓く・肆
「アルマがいても……剣がいないと根本的な解決って無理だよね?何か策でもあるの?」
「え?アルマって違うの?」
「いや知らないけど。本人は何も言ってないし」
「じゃあ違うのかな……」
アルマさんが剣かどうか……か。正直あれだけ強い人だと剣でもなんらおかしくはないと思っているけれど。話を聞く限りかなり古くから生きているようだし。本人が開示しないだけで本当に剣である可能性もある……のかな、俺も剣らしいけど、自覚がないから良く分からない、というのが本音だ。夏音くんは未知の情報が多いからか、疑問を一つずつシリウスさんと青藍さんにぶつける。
「剣だと、何かメリットがあるんですか?」
「狙われる心配をしなくてよくなる」
「俺達にとっては地上にいるための楔みたいなものだからね、剣の存在って」
確かにアランさんも俺が剣だ、と言ったときに似たようなことを言ってたな。上位存在というと……あの龍を連れ出したときと同じようなことが起こりかねないということになる。あのとき出ていた腕……が、そう、なのかな。あれは時間経過でいなくなったから、今回も時間を稼げばどうにかなる、のかも。
「……今回も誰かが巻き込まれますかね」
「どうだろ……そんな適合者なんて早々いないと思うんだけど、実際どうなの?」
「その辺りは何を目的とするか、による。連れ戻したいのか、排除したいのか、利用したいのか。……この状況下で排除、という選択肢はとられないだろうからほぼ二択ではあるんだが。まぁ、どちらにせよ周囲を殲滅するだけの戦力ならば、物量で押す、という方法があるだろう」
「……無意味じゃない?」
「その場合は……どこかの支部か、あるいは軽、中戦闘区域の職員が対象、ですか」
「そうなるだろうな」
どれだけ人数がいようと皇が苦戦するイメージが湧かないが、目立つのだけは問題だな。周囲を巻き込んでしまえば説明する必要性が生まれるし、その場合シリウスさんの存在は非常にややこしいこととなる。なんなら夏音くんの存在も周知されている訳じゃないので……出来れば極秘に済ませたいところだろうな。
「もう一度……羽深さんが巻き込まれる可能性は、あるんですか?」
「ない、とは言い切れない。だが流石に対策を練ってはいるだろうし……同じ場所で同じ相手と戦わせたらどうなるのか、くらい知っていると思いたい」
楽観視は出来ないが、状況が状況なだけに羽深さんが巻き込まれる可能性は低いとみていい、ということか。皇としてもあまり羽深さんと再戦はしたくなかったのか、いつも通りの表情を浮かべたまま、安心ですねと呟いていた。
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