第六十九話 見せつけろ、その輝きを・前編
何で皇がいるのか、を聞く前に東雲が動き出す。空を割るような稲妻を左右に散開することで躱し、そのまま戦闘を開始した。
基本的には射撃と虚空からの串刺し攻撃。射撃はともかく虚空からの攻撃は予兆なんてほぼないのによく対処出来るな……俺はひたすら観測手が反応した方向に攻撃を放つことでどうにか均衡を保たせている。幽撃必須じゃなくて助かった、ここで幽撃も織り交ぜなければいけない、とかになると完全に頭がパンクする。
「分かってはいたけど攻撃が苛烈すぎる……!」
東雲はいくつもの魔術を展開させて俺達の行く手を阻む。時折勢いよく後方に吹き飛ばされるし、行動阻害も食らうので状況としては芳しくない。皇の動きをみても有効的な手段はなさそうだな、どうにかして接近しないと始まらないけれど、その手段を俺達は持ち得ない。
「……」
魔術をどうこうする、だなんて技量はない。俺が出来るのは物理的な妨害と予兆を察知して動くこと。あとは精々露払い程度かな、と思う。皇はどうなんだろう、割と何でも出来るようだから多分何らかの手段はあると思いたいんだけど、別に魔術に関して特別詳しい訳じゃないはずなんだよな……。まぁ本当に不味かった場合は伺いを立てて来るだろうし、あそこまで真っ直ぐ接近しようとしている辺り何らかの策はあるんだろう。それなら俺は出来る限りのことをするだけだ。
地面を強く蹴って加速する。俺は直進するわけじゃなく、出来るだけ大きな弧を描くように。東雲に行動を読ませるな、出来るだけ攪乱して俺に注目を集めろ。回避くらい出来ないで何が職員だ。
「この程度か東雲!」
「……」
「本気で来い、生半可な覚悟で止められるほど俺は遅くないぞ」
煽れ、煽れ、煽れ!策がないなんて悟らせるな、俺の目的は東雲を倒すことだと誤認させろ。視野を狭めて、余所見なんてしたら終わると認識されるくらいの方が都合がいい。
更にギアを上げる。東雲の方もどうやら俺を先に潰すと決めたらしい、虚ろな視線が俺を捉えたと思うと一気に弾幕の厚さが変わる。弾と弾の間を縫うように、飛び出してくる針に幽撃を当てて足場にし、飛んでくる弾に斧を滑らせて斬り捨てる。これだけ動いても対応されるのは想像以上かもしれない、……なんだか楽しくなってきたな。
「凄いな東雲、この速さにも対応出来るってことは殆どの相手に有利を取れるんじゃない?」
「……」
「それでいて制御も完璧、いやー俺じゃなかったら手も足も出なかっただろうね。――――――ま、俺の方が速いけど」
惜しむらくは攻撃に陰湿さが足りない点か。この程度の攻撃じゃあ俺も皇も倒せない、そういう意図を込めて、俺は見せつけるように口角を上げた。
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