第六十話 決戦・邂逅
「皇さんはどうやってここに……」
「どうやら俺の目的地はここだったらしい」
とはいえ、戦闘するにはまだ遠い。気配が曖昧……とまではいかないが、存在に不明瞭な部分があるな。
「皇さん、この人アルマさんの番です」
「そうか、アルマさんの…………えっ」
「えっ」
俺とアレンさんの声が重なる。同時に呆けた声が出てしまうくらいには衝撃だった。そんな偶然……いや、アルマさんが何故職員として働く気になったのか、の答えになるな。一瞬動揺はしたがすぐに納得したところで、夏音から言葉が続けられる。
「どうにかして連れ出したいんですけど、シリウスさんは悪意とか敵意の集合体、みたいなものを封印してるらしくて」
「ああ、倒す必要があるのか」
「はい。しかも相手を変異させてから」
それは厄介だな。変異させてから、ということはどうしても未知の情報があるまま戦闘に入ることになる。ともするとこちらに対抗手段がないまま戦闘することになる可能性もある訳で。
「変異させる理由は……そうか、そもそも攻撃が……」
「はい。今は実体がないので」
「幽撃は?」
「思念のようなもの……に、幽撃は通りますか?」
「厳しいな」
ただ実体がない、だけならば幽撃でどうとでもなるが、存在が思念である、と言われるとそもそもの話として戦闘になるかすら怪しくなる。大人しく変異を待つしかないか、実体を得る段階になればほぼ怪異と変わらないだろうし。
「……そもそもの話なんだけど、今まで封印されてたのを倒す気なの?目的の相手ってここの門番してたやつじゃない?」
「方向としてはほぼこの真下ですが」
「じゃあ封印されてるやつか……」
封印されているにも関わらず周囲に影響を及ぼしているのだとしたら相当厄介な相手、ということになるな。そもそも怪異でもないのに脅威となっている時点で今更か?思念そのものがどうして怪異のような影響を及ぼしているのかはさっぱり訳が分からないんだが。
「……変異させるのは良いんだが、そちらの天使の方は、逃げる算段はあるのか?」
「あれ、バレてる」
何やら不思議な気配だな、とは思っていたが天使だったのか。アレンさんの言葉にまぁ……?という曖昧な言葉を返す相手。仮にアルマさんの番、なのだとしたら介入される前にアルマさんと合流したいところではある。流石にこの空間では不可能に近いが、同位相にいれば気付いてくれるんじゃないだろうか。
「連れ出して……ヘブンの内部にいる間は多分、何の影響もないとは思う。問題になるとしたら、ヘブンが正常化した後」
「そうだな。恐らく連戦になると思っていい。……大丈夫なのか?」
「問題ありません」
「なら、構わない」
アレンさんから了承も得たので下準備として移動する。アレンさんに夏音と天使らしい人物を任せて、俺は顕れた思念だったモノと対峙した。
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