第五十四話 起源を辿る・中編
「っここは……?」
村……のように見えるんだけど、どういうことだろう。まさかとは思うけど、シリウスさんの言っていた村が、これ?
「シリウスさん、これは――――」
「……え、どういうこと?」
シリウスさんも知らないんだ。じゃあ完全にイレギュラー……別にそんな変な感じはしなかったんだけど、無理矢理突破したせいでおかしなことになってるのかも。
「ここは……最下層ではないんですか?」
「いや……最下層では、あるっぽい?ただ普段とは様子が違うというか……何で村になってるの?」
「僕に言われましても……」
シリウスさんが分からないことを僕が知る訳ないじゃないか。シリウスさんも聞きはしたけど明確な答えが返ってくるとは思っていなかったらしく、きょろきょろと周囲を見渡している。
「何でここなんだろうなー……昔の記憶が何かの拍子に蘇った?でもそれで再現されるとは思えないんだけど……」
「やっぱりここって、シリウスさんが言ってた村……?」
「うん。俺の記憶が正しければそう」
元の場所が再現されている……っていうことなのかな、わざわざどうして?という疑問が湧くし、ここからどうすれば良いのかも分からない。
「うーんもしかして封印が解けてる?でも俺がここにいるのに……ってあれ、鎖切れてる」
「えっ」
今絶対大丈夫じゃない言葉が聞こえたな。シリウスさんの足元を確認すれば、鎖が途中で切れて地面に線を引いている。ここに来た時に……壊れた?もしかして僕が無理矢理突破したから……!?
「もしかして……僕のせいでとんでもないことになっているのでは……!?」
「いやそんな弱いものじゃないし……早々千切れることはないんだけど……まぁ怪異が潜り込んだ時点で封印が弱まってたのかもね。封印し直せばいいから大丈夫」
「大丈夫……なんですか?」
「うん。少なくとも俺達が出会ってないってことはまだ動き出してはないだろうし」
シリウスさんは僕を宥めるようにぽんぽんと頭を撫でて来る。……悔しいけど大人っぽいな、ちゃんと大人の対応をされてる。さっきまでは適当言ってるんじゃないかってくらいふわふわした発言しかなかったのに。
「動いてないなら境界を弄る場所にいるだろうし、位置関係は同じだと信じて進もうか。再現したのは場所だけみたいだからね」
「分かりました」
人はいない、気配があってもそれは本物じゃない……っていうことだよね。宇月さんや月野さんならここに何かがいるかどうかも分かるんだろうけど、僕はその辺りを探知出来ないし、いないものとして進んで良さそうだった。
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