第五十一話 外より埋める
待機すること数分、東雲さんが成程、と呟いたことで解析が終わったことを把握する。このまますぐに移動するんだろうか……と思っていたら、東雲さんが俺達を集めて口を開いた。
「居場所は把握出来ました……が、そこに辿り着くためには少々怪異を減らす必要があるようでして。細工ついでに討伐と行きましょう」
「分かりました。っていっても戦えるのって入江だけだから……」
「まぁそんな特別強い怪異はみてないし、大丈夫かな」
少なくとも今は火力問題に悩まなくてもいい。ちゃんと足場があって、動き回れるだけのスペースがあれば大抵の怪異なら押し切れる。俺の言葉に安堵したのか、東雲さんと宇月さんも口角を上げた。
「では、これからいくつかの位相を回りますが……入江さんはその位相にいる怪異の討伐、私はその間に魔術式を仕込みます。宇月さんは、私が術式を構築している間周囲の警戒をお願い出来ますか?」
「分かりました!」
「分かりました。一応……部屋の主を叩くのは最後の方が良いですか?」
「そうですね……基本的にそう時間はかからないと思いますが、出来れば取り巻きを先に討伐していただけると」
いくら空間を構築している大元を叩いても取り巻きが勝手に消える訳じゃない。東雲さん達の邪魔をさせないためにはほどほどに露払いも必要だろう、出来るだけ広い視野で周囲を把握しながら、戦闘を行う必要がある、と。
東雲さんに案内されて別の空間へ。取り敢えずで近くにいた怪異を叩いてから一気に加速、必要最低限の空間はあるし、壁がおかしい訳でもない、斧を二つに分割して手数を増やして再度戦闘に入る。
仮に、の話だが。これだけ大量の怪異が巣食うほどにこの空間が放棄されきっていたのに、どうやって犯人は潜入したのだろうか、と考える。最近の騒動でも似たような状態になっていたが、実は俺達が知らないだけで怪異に悟られずに行動する技術があるんだろうか。もしあるのならこんな悪だくみに使わずに大々的に発表してほしいとすら思う。
「細工出来ました!」
「ならもう仕留める!」
ほどなくして東雲さんから細工が完了したとの声が聞こえたので斧を一つに戻して本体を叩く。別に分裂させた状態でも充分威力は足りたけれど、一つにまとめたことで勢いがつき、そのまま空間ごと穴が開いた。
「……やりすぎ?」
「いえどうせ同じことになるので問題ありません。進みましょう」
「分かりました……」
「やっぱり強いな入江……あんなに大きな怪異も一発なんだ」
「今は速さがそのまま火力になるからね」
嬉しくはないけど本当にタイミングだけは良かったんだよな。もう少し早く騒動が発生していたらここまで戦力にはなれなかった。
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