第五十話 目には目を・後編
扉を蹴り開けるようにして内部に侵入、東雲がいないことを確認して怪異へと向き直る。足が取られる前に一気に加速して、捕捉される前に一気に切り裂いた。
「ここにはいないか……」
「ですが、ここの怪異を仕留めたことで綻びが生まれました。次の場所に移動出来ます」
「じゃあ早く移動しよう。明らかにこのエリアは危険だし……」
「そうだね」
長居するべき場所でないことは確かなので、東雲さんの準備ができ次第移動する。凄いな東雲さん、恐らく高度であろう術式を難なく使いこなしてる。
次に移動した空間はちゃんと世界視で情報が取れる……から、怪異の体内とかではなさそう。宇月さんも一見しただけでは特に異常が見受けられなかったのか、軽く首を傾げて東雲さんの方を見る。
「この空間はターミナル……全ての位相に続く場所、です」
「ターミナル……」
「はい。入江さんが怪異の一部を倒してくださったお陰で潜入出来ました」
さっきの怪異を倒したことで来れるようになった場所……っていうことか。東雲さんの発言的に怪異を減らさないと来れない場所みたいなんだけど……どうして怪異を減らしたら来れるんだろうな。
「この空間から泰誠がいる場所を探すの?」
「はい。この空間からならかなり精度も期待出来るので……とはいえ、少々時間はかかってしまいますが」
「しらみつぶしよりは余程マシだね。東雲さん、お願いします」
「はい」
宇月さんから頼まれた東雲さんの足元に魔法陣が浮かぶ。少し時間が掛かると言われたので怪異の気配だけは見落とさないようにしながらちょっとだけ休憩。ふと気になることがあったので、東雲さんへと声を掛けた。
「すみません東雲さん。……どうして、東雲さんはこの状況下で正気を保ってるんですか?」
「そう……ですね、そもそもヘブンにおいてはまだ正気を保っている方だった、ということもありますが……一番大きいのは魂が利用されてしまう前に、アレンが儀式を止めてくれたので……」
「儀式を……」
多分アレン、というのはアランさんだとして。儀式を止めた……ということをアランさん本人は理解していたんだろうか。そもそも犯人が人間であることすら知れていなかったのだから、アランさんは何も出来なかった、という認識でもおかしくはない。宇月さんも同じ思考に至ったのか、恐る恐る東雲さんに問う。
「あの……それって、アランさんは知ってるんですか……?」
「どう……でしょう、儀式について伝えられる時間はなかったので……調査が入っていれば、あるいは」
「入ってないです。ここ、放棄エリアとして隔離されてて」
「……え?」
東雲さんが驚いたように目を丸くする。少しの間絶句するように言葉を失っていた東雲さんだけど……やがて、状況を把握したのか東雲さんの視線が鋭くなった。
「成程、私のせいでアレンに余計な重荷を背負わせてしまったようですね……」
「し、東雲さん……?」
「大丈夫です、ええ。自分の失態は自分で取り戻しますとも」
あれもしかして……変なスイッチを入れてしまったのでは?
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