第四十七話 疑念・後編
「仮に……それが真だった場合、皇とアランさんが非常に不味いのでは……?」
「いやあそこは最初から不味いけど……どうして?」
「ほぼ理性が飛んだ状態のアランさんが……手加減とか、出来ますか?」
「…………」
ただでさえ手加減しなきゃ無差別に自他を傷付けるアランが、この状況下で制御を出来るとは思えない。しかも同伴してる皇は余程の事がなければ傍観するだけときた。
「あと……これはあんまり確証はないんですけど、アランさんって……中途半端に人間のことを神聖視してるというか、人が人を悪意をもって害する、という部分を見ない振りしてる節があるんですけど……」
「まぁそれは……うん」
その辺直視させると精神ぶっ壊れる可能性があったからね。あと実力的に怪異には全力出していいけど人間相手には制御すべし、という刷り込みをするしかなかった。アイツ本来は全て等しく対処しちゃうんだもん。
今の精神に異常を来たしてるであろうアランがこの騒動の根幹に人間……それこそ職員とかが関わってたと知ったらどうなるか。……取り敢えずヘブンが壊されるのは確実かな、人的被害……この場合においては皇が無事なら御の字、っていうレベルかもしれない。犯人を生け捕りとかはもう無理だよね。正直ここまで来ると皇が止める止めないのレベルじゃないだろうし。
「犯人が怪異なら良いなぁ……!」
「でもこの感じ……」
「怪異なら良かったなぁ……!」
大分怪異だと言い切れなくなってきてるよね。わざわざ戦力を分断させてる辺りとか、儀式を実行しようとしてる辺りとか。諦めて認めるしかないかな……多分この騒動の犯人、人間だよ。気持ちを切り替えて月野の方を向く。
「どうにかしてアランが暴れる前に合流して脱出しないとね。割と切実に」
「はい」
悠長にしてられない理由が増えたな。こちとら東雲の居場所の手掛かりとか皆無だってのに。これだけ複雑に事態が絡まってると俺達が追ってる意味があるのかも分からなくなってくるよね。まぁ制御権取り戻すためには必須なんだけど。
「どうにかして一網打尽に出来ないかな……」
「せめて犯人の姿が分かれば……?」
「……誘き出せたりしない?」
「誘き出し……ですか」
怪異を誘き出すのは難しいけど、人間ならはったりでどうにかならないかな……。タイミングも加味すると多分監視されてるとみていい……のか?魔術師がいるとしてもゆっきーほどの実力者はいないだろうし。
「ちょっと作戦会議しよう」
「え?はい」
どうにかして相手を出し抜く必要がある、出来れば迅速に。そのためには…………ちょっと芝居をする必要がある、な?
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