第四十六話 疑念・前編
「……この先ですね」
「おっけー。……改めて考えると凄いねお前」
敵意があからさまだから、とは言ってたけどまさかこんな正確に本体の位置が分かるとは思わなかった。これが特性じゃないってんだからおかしいよレイス、他の支部なら責任者やっててもおかしくないレベル。
足場に気を付けながら月野が示した先へ、程なくして現れた怪異は……成程、前にみたときよりデカくなってるな。変なギミックが仕込まれていないかを確認してから核を叩き壊す、制御権が一部戻って来たのを確認して、外に出た。
「んー……取り敢えず元の空間には戻って来た、かな」
「他のみんなの居場所は……」
「待ってね、確認する」
一応戻って来た場所は元いた場所と同じ位相の筈……なんだけど、何故か他の気配がないな。そして制御権が戻って来て分かったけど、この支部内、かなり位相が複雑に絡み合ってる。……もしかして入江達もどこかに飛ばされた?
「少なくともこの位相にはいないかも。気配がない」
「位相移動……ですか。困ったことになりましたね」
「本当にね。あと制御権が全部戻って来た訳じゃないってことは、多分似たような奴がまだいる」
「似たような奴が……」
「うん。どうせ俺を狙ってくるだろうし、返り討ちにする方が早いかも」
ぶっちゃけまだ俺も位相が移動出来るレベルの権限はもってないからね。何で複数の怪異がちょっとずつ制御権を持ってるんだよ、リスク分散とかそういう知能がある怪異とかあんまり見たことないぞ。
「一応……悪意が強い場所、くらいなら分かりますが」
「あ、そっか。じゃあそこ目掛けて進めば……似たような場所に行けるかも?」
「向かいますか?」
「そうだね。依然として意識が飛んだ理由は分かってないけど……」
俺の意識がなくなったのが偶然とは考えにくい。何らかのギミックがあると思う……けど、どうすれば良いんだろうなアレ。何もいない状態で一分、ならそこまで問題はないけど、敵地ど真ん中で意識が落ちたら邪魔にも程がある。
「どこかに……青藍さんの意識を刈り取れる怪異がいる、とみて良さそうですかね」
「あんまり考えたくないけどね。万が一そんな怪異がいたら、俺は気にしないで怪異を仕留めて」
「善処します」
流石に断言は出来ないか。そのときの状況にもよるもんな……大体、俺の意識だけをピンポイントで刈り取るとかどういう条件なんだろう、普通の怪異って対人間への条件は付与するけど対妖怪用で戦略を組む必要なんてない筈だし……。
「……万が一、万が一だよ?この騒動に人間が関わってたら……?」
「…………え?」
有り得ない……よ、ね?
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