第四十四話 停滞する思念・中編
「正直、一体だろうが複数体だろうが剥がせる限界ラインが一緒だからそこまでしか軽減させることは出来ないな」
「このライン……」
成程、連戦にならない限りはそこまで支障がないと判断して良いのか。それは良いことを聞いたかもしれない、どれくらいの数を倒した段階で影響を出るのかは確認しておきたいところだが……まぁ、そもそも出来るだけ影響なんて受けない方が良いだろう。
「剥がすのにどれくらいの時間が必要ですか」
「そうだな……今の状況だと、恐らく三秒は要る」
「それは、複数体でも?」
「ああ」
「分かりました」
三秒の猶予があれば呪いは軽減出来る、それだけを頭に叩き込んで更に先へ。合間合間を縫って襲い掛かってくる呪い持ちの怪異は少しずつ数を増やしているな。
五体までならそこまで影響としては強くない、六体目辺りから意識をしなければ初動に影響が出るようになり……十体を超えると明らかに影響が出るな。
「とどめを刺した腕に影響……か」
二十体までなら連戦出来るが、それ以上は厳しいと見るべきだろう。肉弾戦も絡めればもう少し増やせるが、機動力が落ちると恐らく数は倒せない。
「投げナイフは……成程、遠隔攻撃耐性」
つまりどう足掻いても呪いは受ける、と。……分かってはいたが厄介だな。この怪異はヘブンに元からいた怪異なのか?その場合何らかの対処法があってもいいとは思うんだが……アランさんの意識がない以上真相は闇の中だ。
「アレンさん、一つ聞きたいんですが」
「俺が答えられることなら」
「このまま本丸に辿り着いたとして、アランさんが利用される可能性はどれくらいですか」
「……恐らくだが、呪いを受けない限りは大丈夫。呪いを受けて、抵抗が弱まれば……どうなるのかは定かじゃないな」
「では戦闘は俺が全部請け負います。アレンさんは呪い解除だけお願い出来ますか」
「リスクを加味するならそれが確実か……分かった、無茶はするなよ」
「はい」
進むほどに呪い持ちの怪異が出て来ているということは、恐らくこの先に呪い持ちの怪異の本体もいると見て良いだろう。同時戦闘となると……少々手間取りはするだろうな。自分で解除出来ればそれに越したことはないんだが、残念ながら俺は何がついているのかを具体的には理解していないので。
「そういえば。先程この状態では上手く剥がせない、と言っていましたが」
「ああ」
「別の状態ならば、もっと上手く剥がせるんですか?」
「そうだな。本来なら、もっと上手く」
そうなのか。なんだかまるで……アレンさんはアランさんの人格ではないみたいだな。魂は同一と言っていたんだが……元の肉体ならば、もっと上手く剥がせる、という事なんだろうか。
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