第四十話 最下層の住人・中編
足から鎖は伸びてるけど、シリウスさんは気にせずどんどんと先に進んでいく。あの鎖ってどこまで伸びるんだろうな……本人が気にしていないということは思っているよりも行動範囲はある、のかな?
「あの……」
「うん?」
「シリウスさんは、天使さま……なんです、か?」
「天使?うーん……まぁ、昔はそう言われてたね」
「昔は?」
「今はちょっとね……長い間ここにいたし、良く分かんない」
羽根はあるし今も天使だと思うけど……本人の中では違うかもしれない、という明確な線引きがあるみたい。種族って変わるものなのかな、こういうのに詳しいのって誰だろう。
「君大分若そうに見えるんだけど、ホムンクルスって見た目が幼い種族なの?」
「あ、いえ……単純に僕が作られてから三年しか経ってないからこの見た目なだけです」
「三年?三世紀とかじゃなくて?」
「三年です」
「え、赤ちゃんじゃん」
確かに三年は若いかもしれないけど……三世紀は流石に長すぎないかな、とも思う。やっぱり天使だから三世紀くらいは平気で生きるんだろうな、僕が寿命いっぱいまで生きても多分シリウスさんには到底追いつけない。
「赤ちゃんも働く時代かぁ……あれ人間でも三年って赤ちゃんだよね?」
「いや……三才なら幼いけど赤ちゃんではないと思う、けど……」
「そうなの?」
……もしかしてシリウスさんってあんまり人間について詳しくない?姿形は羽根が生えてる以外人間と変わらないのに、なんだか根本から違うみたい。僕も一応ホムンクルスだから姿形が同じだけのニセモノではあるけど、シリウスさん程の乖離はしてない……と、思う。
「シリウスさんはどうしてここで封じてるの?そのために生まれたの?」
「え?違うよ?番を見つけて降りて……邪魔だったから流れで封じた」
「流れで」
「そう、流れで」
そんな軽いノリで封じたんだ……というかしれっと言ってたけど、シリウスさんは番のために……この負の感情を封じてる、っていうこと?でも邪魔だからって言ってたから関係ない……?
「その番……さんはどこに?」
「分かんない。もしかしたら封印されてるかも?」
「え?」
「いやぁ、ちょっと乱入タイミングというか……衝撃が強すぎた?みたいで?最後に見えた時に結構荒れてたっぽいから……彼悪みたいなことになったんじゃないかなって思う。死んではないけど」
彼悪?知らない名前だな……有名な人なのかな、死んでないって言い切れるということは、少なくともシリウスさんの番は人間ではないんだろうって思うけど。
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