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秩序の天秤  作者: 霧科かしわ
第十七章 あの日を越えて

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第三十九話 最下層の住人・前編

 真っ白な羽根は大きくて、見た目はまるで天使さまみたいだった。……本当に天使さまだったりするのかな、でもなんでこんなところにいるんだろう。

「あなたは……?」

「俺は……シリウス。君は?」

「僕は夏音」

「カノン?不思議な名前だね。人間?」

「人間では……ない、です。ホムンクルス」

「ホム……?なにそれ、新しい種族?」

……何だか話が噛み合ってないな。別に僕の名前はそこまで珍しくもないし、ホムンクルスだってそこまで秘匿されてる訳でもないし。もしかしてこの人幽霊なのかな、随分前に死んでここにいる……とかなら、納得は出来るかも?

「シリウスさんは……どうしてここに?」

「どうしてって……まぁ、封じておかないといけないからさ」

「封じておく?」

「うん。恨みとか憎しみとか、怒りとか嘆きとか」

「負の感情……と、いうこと?」

「そう……かな、多分そう。溢れないように見張ってる」

 誰の負の感情だろう。よくよく見ればシリウスさんの足には鎖が伸びていて、少し離れた地面に刺さっている杭に繋がっていた。……この杭を抜いたら、その封じてるものが溢れる……んだろうな。見張ってるのか動けないだけなのかはよく分からないけど。

「君はどうしてここに?というかよく来れたね?」

「ええと……人を探してて、怪異に取り込まれたかもしれないって思ったから地下に」

「怪異に取り込まれてたら死んでない?」

「青藍さんは妖怪だし……月野さんも正気だったから多分大丈夫かなって」

「へー妖怪。……え、もしかして今は妖怪も人間と一緒に暮らせるの?ていうか異種族でも公言出来るんだ?」

「少なくとも重戦闘区域では……?」

「重戦闘区域?」

 ……やっぱりシリウスさん、随分昔からここにいるのかもしれないな。重戦闘区域が後から出来たとは聞かないから、多分ヒュリスティックの設立前からいる。じゃあもしかして……この上にヘブンがあることも知らない?

「シリウスさんはずっとここにいるの?いつから?」

「んー……?いつだったかな、なんて説明すれば伝わるのかもよく分かんないや。でも確か、この辺には村があったよ」

「村……?」

僕は分からないけど他の人なら分かるのかな。少なくともヒュリスティック設立前なのは確かだと思う。

「というか……怪異に取り込まれてるならここにはいないと思うよ。帰り道は分かる?」

「いえ……上から落ちてきたから、戻れないです」

「あらら。じゃあ……ちょっと着いてきて。出口探そっか」

ここまで読んでくださりありがとうございます!

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