第三十九話 最下層の住人・前編
真っ白な羽根は大きくて、見た目はまるで天使さまみたいだった。……本当に天使さまだったりするのかな、でもなんでこんなところにいるんだろう。
「あなたは……?」
「俺は……シリウス。君は?」
「僕は夏音」
「カノン?不思議な名前だね。人間?」
「人間では……ない、です。ホムンクルス」
「ホム……?なにそれ、新しい種族?」
……何だか話が噛み合ってないな。別に僕の名前はそこまで珍しくもないし、ホムンクルスだってそこまで秘匿されてる訳でもないし。もしかしてこの人幽霊なのかな、随分前に死んでここにいる……とかなら、納得は出来るかも?
「シリウスさんは……どうしてここに?」
「どうしてって……まぁ、封じておかないといけないからさ」
「封じておく?」
「うん。恨みとか憎しみとか、怒りとか嘆きとか」
「負の感情……と、いうこと?」
「そう……かな、多分そう。溢れないように見張ってる」
誰の負の感情だろう。よくよく見ればシリウスさんの足には鎖が伸びていて、少し離れた地面に刺さっている杭に繋がっていた。……この杭を抜いたら、その封じてるものが溢れる……んだろうな。見張ってるのか動けないだけなのかはよく分からないけど。
「君はどうしてここに?というかよく来れたね?」
「ええと……人を探してて、怪異に取り込まれたかもしれないって思ったから地下に」
「怪異に取り込まれてたら死んでない?」
「青藍さんは妖怪だし……月野さんも正気だったから多分大丈夫かなって」
「へー妖怪。……え、もしかして今は妖怪も人間と一緒に暮らせるの?ていうか異種族でも公言出来るんだ?」
「少なくとも重戦闘区域では……?」
「重戦闘区域?」
……やっぱりシリウスさん、随分昔からここにいるのかもしれないな。重戦闘区域が後から出来たとは聞かないから、多分ヒュリスティックの設立前からいる。じゃあもしかして……この上にヘブンがあることも知らない?
「シリウスさんはずっとここにいるの?いつから?」
「んー……?いつだったかな、なんて説明すれば伝わるのかもよく分かんないや。でも確か、この辺には村があったよ」
「村……?」
僕は分からないけど他の人なら分かるのかな。少なくともヒュリスティック設立前なのは確かだと思う。
「というか……怪異に取り込まれてるならここにはいないと思うよ。帰り道は分かる?」
「いえ……上から落ちてきたから、戻れないです」
「あらら。じゃあ……ちょっと着いてきて。出口探そっか」
ここまで読んでくださりありがとうございます!
面白かったらブクマや高評価お願いします。喜びます。




