第三十八話 放棄された支部・邂逅
皆がバラバラになったら、どうすればいいんだろう。僕だけで東雲さんを探す?怪しいのはあの歪んだ扉の奥と、地下だと思うけど……。
「どっちも……罠がありそうなんだよね」
それでも進むとしたら、まだ地下の方が合流できる可能性はあるだろうか。青藍さんと月野さんが連れて行かれたのが地下……という可能性はあるだろうし。歪んだ扉の先は、僕一人で行くにはちょっと心許ない気がする。
「立ち止まってる訳にもいかないし……出来ることはやってみよう」
特性を起動、薄くバリアを張るように砂を展開させながら来た道を戻る。どうにか地下の扉があるところまでたどり着いて、扉を開けた。
「また変わってる……」
さっきみたときは作り物みたいだったけど階段がついていて部屋っぽくなっていた。けれど今は、どこまでも続く穴みたいに見える。……大丈夫かな、底は……ある、よね?
「…………えいっ」
意を決して飛び降りる。思ってるよりは深かったけど……どうにか着地したから入口を確認。……やっぱり前回よりも天井が高い気がするな、帰るといいんだけど。
「……よし、進もう」
一応杖で道があることを確認しながら進む。怪異の姿がなくて助かった、戦いながら先に進むのはちょっと難しい。明かりはないけど完全に真っ暗じゃないみたいで、辛うじて自分の姿は見える。
青藍さんと月野さんは、青藍さんの意識が戻れば多分大丈夫。入江さんと宇月さんは、怪異が多いとちょっと大変かもしれない。入江さんが幾ら強くても宇月さんを守りながら、だと厳しいだろうし。……きっと一番今危ないのって僕なんだろうな、悲しいけど僕が一番弱い。
「……うわっ」
ぐるぐると色んな事を考えながら進んでいたら、急に杖が空振って体勢が崩れる。なんだろう……また穴でも開いてるのかな?砂を飛ばして輪郭を確認する。……本当に大きな穴みたい。
「更に地下に潜れる……ってこと?」
これは想定してなかったな……前回も似たような穴があったけど、あれとは違う気がする……覗き込んだら下の方にうっすらと光が見えるんだけど、落ちても大丈夫かな?
「この空間にいないなら…………やってみる価値はある、かな」
光に向かって一気に踏み切る。さっきよりも深い……!杖をちゃんと握りしめたまま数秒間の浮遊感に耐えていれば、思っていたよりも少ない衝撃で着地する。
「……あっち……?」
底に落ちたことで分かったけど、あの光……少しだけ揺れてるな。現状見えるものなんてそれしかないからと進んでいったその先で。
「……うん?誰?」
「羽根の生えた…………ひと?」
知らない人が、立っていた。
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