第二十五話 踏み入れる
「月野さん!入江さん!」
「夏音くん!それに青藍さんと宇月さんも!」
異常発生したらしい怪異を仕留めながら待つこと数分、夏音くんの声に視線を向ければ、怪異を適当に倒しながら進んで来ていた。放棄エリアの近くには怪異が少ないらしいので、情報共有もそこそこに移動を開始する。
「アランと皇は別方向から行くって言ってた。もう先に行ってると思う」
「分かりました。じゃあ俺達も急ぎましょう」
「そうだね。少ないとはいえ怪異もいるだろうし」
実際、放棄エリアに近付くほど怪異はまばらになっていき、放棄エリア内に足を踏み入れた頃には怪異の姿はほぼなかった。ヘブンが原因なら怪異が多くてもおかしくないと思っていたんだけど……被害を受けているのが重戦闘区域とレイスだけ、というのはちょっと引っ掛かる。
「ヘブンに入る前にちょっと動き方だけ決めよっか。俺は基本的に宇月の護衛するから、前衛は入江、お願いして良い?」
「分かりました」
青藍さんに頼まれ、そのまま二つ返事で了承する。実際夏音くんと月野さんは中・遠距離を得意とするから自然と俺が前衛になる。タイミングよく武器を新調したタイミングだったのが助かった、今までよりも更に動けるようになっているので。
「一応聞いていいですか?……何があったんです?」
「東雲が行方不明になった。ヘブンにいることは確実なんだけど、どうもほぼ拉致みたいな形っぽい」
「東雲が?」
「うん。アランと皇が別行動してるのは元凶叩くのに当時の生き残り……つまりアランが必要なんだけど、アラン自身も異常が起きるかもしれないから、念のため」
確かに、アランさんが取り乱したとき人が多いと皇だって動きづらいだろうな、という認識はある。皇ならアランさんが暴れても止められるだろう、という確信も。
「因みに、宇月はどうして……」
「事前に東雲の様子がおかしい、ってアランさんから話があって。様子を探ろうとして深く立ち入り過ぎました」
「成程、隙を作ってしまったっていうことね」
「そうです」
油断……というよりは動揺かな。アランさん達から見ても様子がおかしかった、ということは遅かれ早かれこの状況にはなっていたのだろうけど、明確に切っ掛けを作ってしまったのだと認識しているなら宇月さんがついて来たことも頷ける。
会話をしている間にヘブンに着いたので入口で一旦足を止める。皇ならば内部にいる気配からある程度居場所を絞れるのかもしれないが、生憎俺はぼんやりと何かがいる、という事しか分からない。
「準備は良いですか」
「うん」
全員が頷いたことを確認して扉を開ける。世界視が空間の異常を告げてきているのを認識しながらも、そのまま内部へと足を踏み入れた。
ここまで読んでくださりありがとうございます!
面白かったらブクマや高評価お願いします。喜びます。




