第二十三話 持ち寄る情報・後編
「アランさん」
「はい」
「二手に分かれましょう」
「……二手に?」
俺の言葉に怪訝そうな表情を浮かべるアランさん。隣にいた青藍さんも同じ表情を浮かべ、雪代さんとレンリさんは納得するような表情を浮かべる。リアムさんとシンさんは静かに俺達の会話を見守っていた。
「アランさんがいれば元凶を叩けるのなら、俺とアランさんで元凶を叩きましょう。それとは別に、東雲の確保に動く職員がいれば、いい」
「……それは」
「少なくとも――――アランさんが狙われても、おかしくなっても、動けなくなっても、俺なら対処出来ます」
出来ることを疑うな。迷いは剣を鈍らせる、だから出来ると信じて具申する。
「無茶――――では、ないでしょうね。確かに、志葉さんなら俺がどうなっても対処出来るでしょう」
「はい」
「ですが、東雲さんの確保には誰を向かわせるつもりですか?ヘブン内部の構造を知ってる職員は私くらいだと思いますが」
「ぼく、も、分かります」
「夏音?」
ついさっき起きたんだろう、表情こそ引き締めているがぽやぽやと髪が乱れている。それでも夏音はしっかりとアランを見つめて、もう一度自分もヘブン内部が分かると主張する。
「夏音、貴方は……」
「宇月さん捕まえましたー!」
「ましたー!」
「は?」
「え?」
「おん???」
「ちょっと待ってくれテオ何言ってる?」
ゾエに抱えられた状態で両腕を上げているテオが医務室に入って来る。一瞬全員が何を言われたのか分からず動きを止めた、がすぐさま雪代さんとレンリさんが視線を宇月へ向け、続けてテオの方を向く。
「待て待て待て待て……入ってね?」
「いやでも確かにアレは宇月……追い出されたの?マジで?」
「取り敢えず引っ張り出して詰め込むか……レンリなんか人形持ってねえか?」
「形半端で良いなら」
手際良く雪代さんとレンリさんの手によって宇月から何らかの気配が出され、テオが持っていた気配が代わりに入れられる。中身が違うなんてことあるのか、よく探れば分かったのかもしれないが、流石に予想外だった。
「う、んん……?っ泰誠は!?」
「落ち着け宇月。まず体調は?体に異変はないか?」
「大丈夫……大丈夫です。寧ろ、いつもより調子がいい……」
「それは知らん」
「それより泰誠が!」
「分かってる分かってる。今その話してたから、落ち着け」
雪代さんから軽く説明を受けた宇月が落ち着いた気配はない。何か、確信を持っているかのような焦燥を隠すこともせずアランさんの方に視線を向ける。
「アランさん。俺も連れて行ってください」
「え」
「足手纏いになるのは百も承知ですけど!それでも、俺のせいで多分東雲は引っ張られた……!」
「それは……一体」
そこまで行ったところでアランさんが口を閉ざす。アランさんだけでなく、この場にいるほぼ全員が戦闘区域での異常を察知したんだろう。……タイミングが悪いな。
「……話をしている時間はなさそうですね。青藍、レイスの方は」
「残念ながらこっち同様怪異が異常発生してるみたいだね」
「アラン職員、入江と月野がヘブンに行けるってよ」
「……連れて行け、と?」
「夏音とも連携が取れるし影響も受けないぜ?」
「……」
悩んでいるな。アランさんからしてみればあまり巻き込みたくはないのだろうが……恐らくここで夏音と宇月を置いて行っても、勝手に飛び出す可能性がある。怪異が異常発生している以上、人手をこれ以上は割けないのがネックか。
「アラン。俺も夏音達と一緒に行く」
「青藍」
「俺がいれば万が一があっても離脱出来るでしょ」
「…………分かりました」
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