4. 選ばれし者
直ぐに13人の王子、王女が集められた。
……はずなのだが。
「先ほど来ていたはずのリオ様がいません。」
皆が辺りを見回し、リオを探す。
(あの役立たず。こんな時にまで迷惑を掛けて。)
(本当に使えない奴だな。)
皆一様に、心の中で毒づいた。
「ぼ……僕はここに。」
おずおずと声が上がる。
先ほどまで誰もいなかった場所に、青白い顔をしたひょろりとした少年が立っていた。
「お前、いつからいたんだ? 存在自体が薄いんじゃないか。」
五男が馬鹿にしたように笑う。
「よりによって、お前か……。」
賢王は眉間に手を当てた。
「陛下、どうしたのですか。」
落胆する王に問いかけたのは、王太子アレクだった。
「ふぅ……我が国、ヴァルディア王国を救うのはリオじゃ。お前はすぐにエルシア王国へ向かうのじゃ。」
不安を振り払うように、王はリオに命じた。
「ぼ……僕が?」
リオは困惑する。
「お待ちください、陛下。なぜこのような者を。」
アレクが声を上げた。
「それはな、我が王族に伝わる文献にこうあるのじゃ。
――神樹が独占されし時、一人の救世主が現れる。
その者、姿をくらます術を持つ――とな。
リオ。お前は杖がなくとも、姿を消すことができるだろう? 先ほどのように。」
「た……確かに。でも、僕には……そんなこと無理です。」
頼りない声が、次第に小さくなっていく。
兄や姉たちは、冷たい視線をリオに向けるばかりだった。
「お前が神樹の枝を持て。さすれば、挿し木が方向を示す。急げ。今すぐ行け。」
王は、半ばヤケクソ気味にリオを追い立てた。




