3.賢王と呼ばれた男
賢王と呼ばれる王には、13人の子供がいた。
騎士団長、魔導士団長、宰相――。
王子王女たちは、あらゆる分野の第一線で活躍していた。
「父上、この状況はまずいです。」
宰相を務める次男が言う。
「杖にかかる関税が、今までの5倍です。」
交易を担う三男が声を上げた。
「杖を独り占めするつもりかもしれません。」
四男である魔導士団長が、静かに見解を述べる。
「エルシア王国ごと、神樹を我がヴァルディア王国のものにしましょう。戦争を仕掛けるのです。」
そう鼓舞するのは、野心の強い王太子であり、騎士団長でもあるアレクだった。
他の大臣たちは、黙ってそのやり取りを見守っていた。
エルシア王国は、貧しい土地だった。
草木はほとんど生えず、作物も実らない。
魔法で作物を育てる研究もされてきたが、それも叶わなかった。
ただ、神樹があるのみ。
エルシア王国は神樹から作られた杖を輸出し、代わりに作物や日用品を得ていた。
弱い立場にあったエルシア王国は、安い値段で杖を加工し、外貨を得ていた。
しかし、ある日を境に杖の値段が跳ね上がったのである。
「うーむ。確かに。まずいことになった。すぐに我が子供たちを集めよ。」
答えになっていない答えが返ってきた。
皆は一様に首を傾げた。
だが、賢王と呼ばれる王の言葉である。
すぐに使いを走らせた。




