2. 世界のことわり
約1000年前、神が突然遣わした。
地面が光り輝き、一本の木が芽吹いた。
その木は、あっという間に大木となった。
神の悪戯か、世界を救うためなのか。
その目的はわかっていない。
ただ、その大樹は世界のバランスを変え、人類に力をもたらした。
人類は神樹と呼び、崇め奉り続けた。
ある人間が、神樹の小枝を拾った。
その小枝を振り上げると、小さな火が起きた。
これが、魔法の世界の始まりである。
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「トム、火を付けとくれ。」
トムは魔法の杖から小さな火を出す。
竈の火程度なら、小さな子供でも出せる。
「お母さん、付けたよ。」
「ありがとう。じき晩御飯だ。」
竈の鍋から湯気が立ち、煙突から煙が流れる。
夕飯時になると、どの家の煙突からも煙が立ち昇るのだった。
街灯の灯は、魔法の杖であっという間につく。
日が落ちる頃、街灯士が箒にまたがり、一斉に灯りを付けていく。
そして日が昇り始めると、一斉に灯が消されるのである。
「お母さん、火が付かないよ。」
竈の火を付けようとしたトムが、お母さんを呼ぶ。
「あらあら、杖がしまいちまったかね。
今、新しいのを出すよ。」
魔法の杖は消耗品である。
小さな子供から大人まで、人類なら誰でも魔法が使える。
魔法の杖を使えば。
当たり前のように、魔法は生活に溶け込んでいた。
「最近、杖がなんだか高くなってきたと思わないかい?」
「そうそう。なんでも最近、杖を出し渋ってるらしいんだよ。」
「本当かい? エルシア王国がかい?」
「そうだよ。うちに養ってもらってるのに、杖をよこさないらしいんだよ。」
「なんて恩知らずな。」
「そうだろ……まあ、王様がなんとかして下さるだろうよ。」




