模擬戦闘
男爵の勧めもあって、俺とサンタス、ギニン、ビルットは、勇者パーティー・・・って言うと嫌がられるので、パーティー名シャイニングフォースの皆さんに、指導してもらう事になった。
先遣隊として来ているのに、大丈夫なのだろうか?
「はは、大丈夫よ!男爵があの調子なら、一人も逃さないと思うわ。だから、闘いの後は、この町の住人が5~60人増えるって感じね。」
「増えるって、そんな単純な事なんですか?」
「そうね。過去の偵察隊とかも絡め取ったらしいわ。私たちは違うけどね。」
そう言いながらも戦闘準備を始めるルーナさん。
「あの、魔法って、指導の内に入るんですか?」
「あら、相手が魔法を使わないって確定している戦いなの?」
「そうでは、無いんですが。」
「メイジ相手の闘い方も覚えておくといいわ!」
「さて、始めるぞ!ちなみにサンタス君、君のモーニングスターは、防御してもシャレにならんから、こっちのフレイルに変えてくれないか。」
「いいっすよ?その分早い攻撃になるけどな!」
「はは、構わないよ。全力でおいで。」
勇者、ではなくシャイニングフォースのフォーメーションは、前衛がヴァールさん、少し後ろにディグさん、二歩ほど下がってルーナさんとアンナさんが構えている感じだ。
比べて俺たちは、サンタスが前衛、その左にギニン、一歩下がったあたりに俺とビルットが左右に構えている。
「さぁ、いつでも初めていいよ!」
「よし、行くぜ!!」
「「応!」」
先ずはサンタスがフレイルを大きく振り回す。ヴァールさんはバックラーで軽くあしらう。サンタスは振りぬいた一撃の返しで、もう一撃を繰り出す。ヴァールさんは盾を使わずに上体だけで回避する。ギニンがサンタスの攻撃に合わせてクリスを繰り出す。
「いい連携だ。」
ヴァールさんはバックラーとロングソードを使って、ギニンのクリスを弾き飛ばした。
「な!」
あっという間にギニンが無手になる。
しかし、そこに俺が切りかかる!すると、横から伸びてきたディグさんのロングソードで流されて、大きく空振る。
ビルットは回り込もうとしたが、地面から伸び出た木の根につまずいて転んでしまった。
「なんでこんなところに?」
転がったビルットは、そのままの状態で、蔦に絡め取られて身動きが出来なくなる。
大きく空振りをした俺の脇腹に、ディグさんの拳が深く刺さり、後方へ殴り飛ばされる。
直後にギニンには足が伸び、これまた派手に吹き飛んだ。
そこへサンタスの3撃目が降りかかるが、ヴァールさんの剣で打ち払われ、その場に膝をついてしまう。
その瞬間にヴァールさんとディグさんが左右に大きく飛び、その間から杖を構えたルーナさんが、魔法発動の動作を行う。
「ファイアボール!」
「まじか!!!」
・・・あれ?何も起きない。
「こんなとこかな?」
「実践であれば、あそこでファイアボールが炸裂して、君たちは大けが、もしくは肺を焼かれて即死だ。」
これが、実力の差という奴か。さすが、国王が勇者パーティーと煽てるだけの事はある。
「まったく、相手になりませんでしたね。」
「今日は、初日だからね。明日から暫く、俺たちと稽古をしてもらうよ。」
「あ、わ、私は少し抜けるけどね。ハンナ神、様にお付き合いいただいて、ゴーレム直しのお手伝いをさせて頂いてくるから。」
今からビビってどうすんすか?
何はともあれ、明日から数日は特訓が始まる様だ。




