対策をしなくては!
「なるほど。で、結論から言うと、王国最強の冒険者パーティーが、蛇の魔獣を倒すのに、早朝から昼過ぎまでかかって、その後の処理に10日前後を要するって事ですね?」
「そういう事だな。」
「おい、デュアル。お前の説明が、二行で終わったぞ。」
「臨場感だろ!そこんとこ大切だろ?」
「まぁいい。で、話を戻すと、王国が軍を差し向けて来るって事だな?」
「はい、数日中にも王国を出ると思います。」
「どうする?デュアル。」
男爵は少し考え、頭の中を整理しながら話し出した。
「まぁ、あいつ等に、死の森を攻略するほどの度胸と力は無い。これは確実だ。とすると、山を越えるか、洞窟内を進行してくるか、だが、山越えは・・・無い。あそこはもともと傾斜のきつい崖だったが、ハンナの魔術で断崖絶壁に様変わりしている。・・・山を回り込むにしても、川から海へ出るルート・・・。船上で攻撃されればひとたまりもない。最強の精霊術師1人で終わる。・・・やはり洞窟一択だな。」
「まぁ、そうなるな。」
そうか、海からの襲撃は、精霊術師相手には圧倒的に不利なんだ。水の上位精霊でも召喚されれば、一瞬で無力化されるのか。
「で、私たちはその軍の先遣隊として派遣されています。」
「そうか。で、規模はどのくらいだ?」
「規模は二個小隊で、60人前後かと。」
「所属は?」
「ジーミドル小隊とジーロウ小隊が出る予定です。」
「そうか、貴族連中は加わらないという事か。腰抜けどもめ。」
「我々はいかがいたしましょうか?」
「表立って俺たちの味方をすると、後々面倒になりそうだな。・・・俺たちと適当に戦ってくれ。」
「え・・。いやですよ。まだ死にたくないです。」
「いや、俺たちと言っても、俺たちは精霊祭が終わっていない。手が離せないんだ。だから、代わりの者を用意するとしよう。」
「・・・代わりの・・普通の人ですよね?」
「ガーラさんみたいな強力な精霊術師はやめてくださいよ?うちのアンナの精霊術が発動しなくなるんで。手抜きかと思われます。」
「精霊術の干渉か・・。大丈夫。代理の者は精霊術師ではない。」
仮にも勇者パーティーと呼ばれる人たちが、まるで初心者扱いの様になっている。この人たちの内、1人でも二個小隊位はしのげるのではないか?
「あぁ、私たちも手加減しながら戦うって、難しい事はしたくないから、そこそこの強さじゃないと面倒ですけどね~。」
「ルーナさん、それ、フラグっぽくないですか?」
「何が?」
男爵がニヤリと不気味な笑みを浮かべているのに気づかないのか!ルーナさん!
「大丈夫だ。勇者パーティー様に、ご迷惑はかけないよ。君たちの知り合いに頼むから、遠慮はしなくてもいい。全力で、自分の身を守れよ?」
「!」
ほら、言わんこっちゃない。
ヴァールさんもアンナさんも何かに感づいた様だ。剣士のディグさんはまだボーっと聞いているが、ルーナさんは更にフラグを立てまくる。
「男爵たちのパーティーが出てこなければ、私たちは大丈夫!これでも王国の冒険者ギルドメンバーと比較しても、最上位のランクに匹敵する実力なのよ?今のグリフ王国は軍事力不足でダメダメだしね。安心して、ちゃんと戦っている様に動くわ!」
「ルーナ?男爵は、グリフ王国の軍事力の枠に入っていないんだ。しかも、グリフ王国の冒険者って話は一切なかっただろ?」
「そうよ、男爵が、こんな時に頼る人っていえば、あの人達じゃない?」
「?誰よ?」
「おっ、察しが良いな。俺の招集ですぐに飛んでくる奴は少なくないが、お前たちもいる事だし、今回は、あの姉妹にお願いしようと思っている。」
「「「!!!」」」
勇者パーティーが魔法を掛けられた様に固まってしまった。
ルーナさんは目を見開きながら、口をパクパクと動かしている。
「し、姉妹・・・死舞・・・メグ・・姉妹・・・。」
メグさん、師匠と行動を共にしているあの人、姉妹がいたんだ。俺にとっては恩人だから、怖いと思ったことは無いが、前日のルーナさんの取り乱し様から見ると、苦手な人もいるんだな。
「僕たちに、死ねと?」
「いや、身を守れ、死ぬなと言っている。」
「男爵!それはもう、殺人予告ですよ?」
一体、何があったんだ。




