精霊のささやき
『・・・この洞窟に入ってから、どれくらいたったのだろう?』
かなり長い間ここにる様にも感じるし、まだ来たばかりの様な気もする。
・・・尻が痛い。座るのはいいが、石に直接座り続けると、辛いものがある。
こんな岩場じゃなく、草原や海岸じゃダメだったのか?
『体が痛いのか?』
『ガーラさんは痛くないのですか?』
『?大丈夫だろう・・・。』
ガーラさんの尻は鋼鉄か!慣れているのかな・・・。
外は乾季の風で喉が渇くが、湿気の多い洞窟内だと、あまり気にならないな・・・。
『のどが乾いたら言ってね・・・。』
『はい、ありがとうございます。』
尻の感覚が無くなってきたのか、痛みが治まってきた。
これで、心を落ち着かせられる・・・・。
『そうだ、ココロをおちつかせる・・・。』
『心を・・・。』
静かだ・・・。あの頃が懐かしいな・・・。
あの頃・・・?いつだっけ・・・・?
幼いころ・・・・母さんと一緒に・・・広場で・・・・。
草の臭い・・・。風の臭い・・・・。雨上がりの香り・・・・・。優しい気持ち・・・。
「おい、小僧!」
「はい?なんでしょうか?」
「今日はここまでだ。」
「え、もう、ですか?」
なんだか寝ていたような、頭がすっきりした感覚がある。
「あれ、俺、ねてました?」
「いや、今日は十分だ。」
「はぁ。」
特に何もしていない。のに、これでいいのだろうか?
そう思いながらも石から立ち上がる。
すると、急な目まいに襲われ、すぐに座り込んでしまった。
「あれ、俺が座っていた場所って、こんな草生えてました?」
「それは、お前の事を思って精霊が力を貸してくれたのだ。」
だから尻が痛くなかったのか・・・。
「お前は無駄に精神力を消費しすぎだ。だから立てなくなる。もっと精進することだ。」
「俺が、精霊に・・・。」
「ほら、掴まれ。」
足が上手く動かない、情けない状態で、フラフラになりながらガーラに手を伸ばす。
?ん、石?
俺が掴まっていたのは、小ぶりなゴーレムだった。
「ストーンゴーレム?」
「そうだ。地の精霊に力を借りている。」
「こんな事が出来るのですね。」
「精進すればな。」
俺は、ストーンゴーレムに掴まりながら洞窟の出口へと向かっていった。
「へい!らっしゃい!!」
食堂で目の死んでいるビルットに出会った。
「あぁ、ビルット、上手くやっているか?何か飲み物と、軽い食べ物をくれないか?」
「はい!エールと焼き魚ですね!そちらは?」
「野菜スープとソーセージ。」
「はい!エールとスープとソーセージですね!少々お待ちください。」
「おい、エールは頼んでない!」
「はい!エール追加一丁!」
「・・・お前の友人は、耳が遠いのか?」
「・・・なんでしょうね。俺が飲みますよ。」
料理が届いたとき、ビルットに再度声を掛けたが、それもエールの注文に変わってしまった。
まぁ、良いか。俺はゆっくりと味わいながら食事をする。
ガーラさん曰はく、精神力を消耗しすぎたときは、沢山食べられないから、ゆっくりと味わって食べる事が大切なのだ。・・・らしい。
「精霊祭はな・・・。」
「はい?」
「精霊祭は、精霊との語らいの場なのだ。人と共に楽しみ、騒ぎ、喜ぶ。
精霊を感じられない輩でも、そこに心があれば、精霊も一緒に感じる事が出来るのだ。
だから、精霊祭では、皆が楽しみ、騒ぎ、精霊を称えるのだ。」
「精霊を称える・・・。」
「そうだ、森の民の宝珠が失われてからは、この祭りが、精霊を鎮め、称えるための手段となっている。」
「!森の民!そうだ!森の民!男爵は、森の民との繋がりがあるんですよね。密かに会って話をしていると聞いたことが有ります。」
「そんなことは無い。」
「え・・・そう、だったんですか。」
「密かに・・・。ばかばかしい!堂々と会っておるわ!」
「そっちですか?」
「何しろ、俺と友人関係だと、この町の民はみんな知っているし、隠してもおらん。」
「?え、ガーラさん・・・って。」
「もちろん、俺も森の民だ。」
これって、聴いてよかったのだろうか?酔ってる?




