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しあわせの国  作者: 狼眼


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それぞれの精霊祭 俺はビルット

「おい、ビルット!メイドさんが呼びに来たぞ!」

「んぁ、ああ、今日から食堂で、強制労働だったな・・。」


俺はしぶしぶ、服を着替え、顔をぬぐい、髪形を整えた。

メイドさんに誘われるがままに朝食を済ませると、メイドさんが俺腰に手を回してきた。


「ちょっ、おれ、そんなつもりじゃぁ、え?良いんすか?」

「はい、手を挙げてくださいね。」

「お手柔らかにお願いします。おれ、初めてなんで・・・。」

「あら、ウエイターは初めてなんですね。すぐに慣れますわ!」


そう言ってメイドさんは、俺のベルトに水袋を3つ結び付けた。


「?なんですかこれ?」

「?みずですが?」

「いや、それは分かりますが、なぜ、水袋?」

「!あぁ、精霊祭の時の食堂は、戦場ですからね。水を飲まないと死んじゃいますよ?」

「は?なんで?おれ、死ぬんすか?」

「水分補給は適度に、って事です。」


メイドさんの訳の分からない説明に狼狽えながらも、食堂へ向けて背中を押されて歩き続ける。

食堂は昼から開けるらしいから、俺の仕事まではもう少し時間があるだろう。


「さ、どうぞ!頑張ってくださいね!!」

「?はい・・・?」


意味も分からないままに食堂の扉をくぐった。


「おう、あんちゃん!昨晩はゆっくりできたかい?」

「あ、はい、しっかり休めました。」

「そりゃよかった、まぁ、こっちにおいで。」


食堂のおじさんが手招きする。誰もいない食堂。昨日の昼前のあのテンション。あれは・・きついな。


「あの、昨日の昼前の・・・あれ・・・。あんな事、ずっとするんですか?」

「ははは、無い無い!昨日は君たちの歓迎会もあったから、みんなでふざけたんだよ。」

「なんだ、そうだったんですね。安心です。おれ、ああいうノリが苦手で・・・。」

「大丈夫だよ!あんなおふざけ、する暇ないから・・・。」

「はぁ、そうなんすね。」


俺は、この言葉を軽く聞き流してしまったが、しっかり聞いていても言葉の意味が分からなかっただろう。



「・・・はい、18番テーブル、肉串10,エール10,海藻サラダ2ですね!少々お待ちください!」


「オーダー置いておきます!18番さんです!」

「了解!慣れてきたな!」

「はい、何とか行けそうです。」



「はい!!41番さん煮込み4,焼き魚3,エール4お待ち!!!」「にーちゃんこっち!」

「はい!お待ちください!!」「ウエイターさんお皿下げて!」

「はい!かしこまりました!」「兄さんまだ~?」

「はい!少々お待ちください・・・。」


あれ、動いてるの俺だけ?ほかにもいるよな?



「・・・はい、エール5,魚、肉、葉っぱ。」

「兄ちゃん、どうした?顔が怖いぞ?」

「・・・そぉっすか?」


もう、水袋の水は無い。その分軽くなったはずなのに、足が鉛の様に重い。足の爪が剥げているんじゃないかと思うくらい痛い。あれ?外が暗くなってる。そろそろ夜か・・・。

!もうすぐ解放される!まだ舞える!!


「あんちゃん、大丈夫か?」

「あぁ、おやっさん。何とかやれそうですよ!」

「そうか、無理はするなよ?もうそろそろピークだ。のんべぇが集まってくるぞ!気合い入れろ!!」

「・・・・え、今から・・・・ピーク?・・・今までのは?」

「昨日はあんちゃんの仲間も来て、めちゃくちゃ盛り上がってたぞ!今日も似たようなもんだろぅ!」


「あれ、目の前が白く・・・足が震え・・止まらない・・・。」


足の感覚が無くなり、平衡感覚が失われ、情けない恰好で地面に倒れ伏した。


「ありゃ、あんちゃん・・・。ちょっとからかいすぎたか。」

「おい!メリー!あんちゃんを休ませてやんな!」

「あいよ!」


俺が目覚めたのは、次の日の昼前だった。

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