それぞれの精霊祭 俺様はサンタス!
「あぁ、朝か・・・。」
俺は男爵の家の庭で目を覚ました。
昨日の晩の記憶が怪しい。確か、ギニンと夜の町へ繰り出したは良いが、何をするにも金が足りないという事で、食堂で酒を煽ることにした。
近くのおっさんと意気投合し、飲み競争をして、ギニンが酔いつぶれて・・・。ギニンの口に干し肉突っ込んで・・・。その後の記憶がないな。
「まずい、今日から肉体労働だったな。」
俺は、軋む頭を押さえながら、露店が立ち並ぶ通路へ足を向けた。
目的地は意外と近くにあった。【アームバトラー】そんな仰々しい看板がかかっている。
「ちわ、今日から5日間腕相撲で働くサンタスっす。よろしく。」
「やぁ、君か!男爵から聞いてるよ!さぁ、こっちに来て。」
優しそうな兄さんが出迎えてくれた。
「二日酔いかい?これを飲むと良い。」
そう言って、黒い薬の様なものを渡してくれた。この頭の痛みが無くなるなら、なんだっていいや。
渡された水で、薬の様なものを一気に飲みこむ。口に入れたときの臭いが、馬小屋の藁の臭いがした。
吐き気はあったが、ここで吐くわけにはいかない。
「よし、ちょっとここで休んでなよ。出番まではまだ時間があるから。」
「ども、・・・この町の人は、いい人ばかりだな~。」
思ったことが勝手に口をついて出てしまうが、気にせず一休みする。
・・・・。
「・・・・。ぃさん。・・・にぃさん・・・。出番だよ!兄さん!」
ふと目を開けると、目の前には人の波。俺は椅子に座っている。
「?なに?どうなったんだ?」
居心地の悪さに下を見てみると、足が椅子に固定されている。
「?あ、れ?」
よく見たら、腕も机に固定されている!
「あれ?これ、何?もう、腕相撲?」
「そうだぞ!頑張ってくれよ大将!」
「え、だって、3人で入れ替わりでやるって・・・。」
「3人さ!俺が呼び込み、あいつが会計、で、大将が腕相撲だ!!しっかり稼ごうぜ!!」
「え?腕相撲?一人で?無理無理無理・・・。」
そんな俺を尻目に、笑顔で呼び込みを始めるおっさん。
「さぁいらっしゃい!!ここにいらっしゃる方は、王国の騎士団様だ!腕っぷしに自信があるやつは挑戦してみな!1回銀1だ!騎士団様に勝てたら5倍になって帰ってくるぜ!!」
「騎士団ってだれ!?」
「はい、毎度、1回銀1です。はい、確かに。」
「さぁ!初回はこちらの旦那だ!農家の腕っぷしは伊達じゃない所をみせてやれ!!」
「まてまてまて!」
「準備は良いか?構え!はじめ!」
「が!」「ぐ!!」
急に始まった腕相撲。俺は必死にこらえた。農家の腕力はんぱね~。こいつらが戦いに参加すれば無敵なんじゃねーのか?
そんな事を思いながらも、何とか持ちこたえている。
「おおっと!さすが騎士団様!苦しそうな演技で場を盛り上げてくれますね~。さぁ、旦那!頑張んな!!」
「ぐぉ!」「んんんん!」
「はぁ!!」
俺は何とか、農家のおっさんを撃退することに成功した。
「はっ、なめんな!」
「おおっと!さすが騎士団様!余裕の表情です!さぁ、次の参加者は居ないか~!」
「ちょ!少し休ませて
「はい!まいど!!八百屋の旦那!銀1確かに!」
「さぁ、八百屋の旦那が騎士団様にいどむぅ~!準備は良いか?はじめぇ!!」
「ぎ!!」「むむぅ!」
大人しく、野菜を、うってろ!
「なぎゃ!」
八百屋は俺の敵ではなかった、が、連続で来られると、正直きつい。
「さぁ!!今がチャンス!!騎士団様もちょっと疲れてきたかなぁ?きたかなぁ?」
「あぁ、一旦
「まだいける!!まだいける!!さぁ次は~!」
これは、やばい・・・。
足に食い込んでいる荒縄が、俺を逃すまいと俺に絡みついてくる。
「割にあわーん!!!」
結局俺は、15勝して撃沈した。




