再会
「コーギ!大丈夫だったんだな。」
「えぇ、男爵様に良くしていただいたわ。」
「コーギがお世話になったそうで、ありがとうございました。」
「お母さん、この人たちは特にお世話になっていないわ。」
「あ、ひどい。」
コーギがずっと笑顔だ。心配だった母親の病気の事、家族の安否が良い方向ではっきりと分かった事が大きかったのだろう。
コーギは薄黄色のワンピースを着ていて、女性剣士を目指していた頃の面影はない。まぁ、腕はムキムキだけど。
「ほら、お前たちの到着が遅かったから、レイディの鎧が脱げてしまった。」
「確かに、皮鎧がひん剥かれてますね。いい事じゃないですか。」
「コーギ、心配したんだぞ?まったく。」
「え?男爵様が、説明しておくから先に行けって。家族が待ってるぞって。」
「男爵?」
「・・ん?そうだっけ?」
「とぼけんなコラ!!心配するようなことばかり言って、俺たちを煽りやがって!!」
「ま、まぁまぁ、ここに着いた後はちゃんと説明したじゃないか。」
「あなた、ホントに楽しそうにしてたものね。」
「そこ!追い打ち掛けない!!」
コーギと付き合いが長かったビルットは、無事なコーギを目の当たりにして、やっと心の底から安心できたようだ。
「そうだ、コーギ、君はこの後どうするんだ?当面の目標だった家族との再会は達成できたし、以前の様に女性剣士を目指すのか?」
「それは無いわ。もともとあの目標は、王国の洗脳じみた記憶操作が原因だったんだもの。」
「そうだよな。で、どうするんだ?」
「そうね・・・。まだ考え付かないわ。とりあえず、暫くは親孝行しようと思うの。長年生き別れになっていたんだからね。」
「コーギ・・・。」
コーギの両親が、ウルウルした目でコーギを見つめている。
「とりあえずは、明日からの精霊祭を楽しみましょうよ!」
「そうだな。レイディは家族との時間を大切にしたまえ。」
「はい。」
「それはそうと、君たち。君たちには頼みたいことが有るのだが。」
「?頼み事?ですか?」
「あぁ、君たちと言っても、サンタス君、ビルット君、ギニン君。君たち3人だ。」
「あれ?俺は何もないんですか?」
「君は別にやってもらいたい事が有る。」
「男爵の頼みとあらば、やらない訳にはいかねぇな。」
「アル、やってもらいたい事と。頼みたい事、どちらが上かねぇ。」
珍しくビルットが煽ってくる。コーギが傍にいるからって、調子に乗ってるな。
「あ~、アルバート君、君には精霊祭の間に精霊術を身に着けてもらおう。と思っている。」
「へっ、俺がですか?なぜ?」
「実はね、君、精霊に好かれているみたいなんだ。近くに何匹か見えるよ。」
「今やる必要ってあるんですか?」
「ん?3人がいないと、君、暇だろ?」
「・・・はい。」
「じゃぁ決まり。だな。」
まぁ、興味が無いわけではないので、この際に学んでみようと思う。じゃぁ、後の3人は何を頼まれるんだろうか?
「アル、がんばれよ~。で、男爵、俺たちは何しましょうか?」
「君たちは、労働。」
「は?」
「労働、ですか?」
「なぜ?」
「君たちに渡した、武器の値段分だ。」
「え!あれ、譲ってくれたんじゃ・・。」
「武器が、タダで、手に入るわけが、無いよね?」
「そ、っすね。」
「ちなみに、ギニン君、君は一番簡単な労働だから、安心なよ。」
「短剣1本で、まぁいいか。」
「俺とビルット、どっちが高い武器なんだ?」
「ん~。微妙だな。しいて言えば・・・。」
「しいて言えば?」
「サンタス君、かな?」
「っしゃ!」「まじか!!」
男爵が2人に大まかな仕事を言い渡す。
「ビルット君、君は、無料で提供されるこの食堂で、ウエイターとして働いてもらおう。5日間。」
「5日!!現物支給・・・。」
ビルットがブツブツと呟いている。「い、5日働いて帰るような武器ではないはずだ。大丈夫、いける、5日なんてあっという間だ・・・。」
「サンタス君、君は。腕相撲。」
「?ウデズモウ?」
「祭りの出店でやるんだが、人手が足りなくてね。5日間。」
「・・・!負けたらどうなる?」
「勤務時間が伸びるって事で。」
「最短で、5日・・・。1日の勤務時間は?」
「ん~。3人で、昼から晩飯時までローテーション。」
「さ、3人・・・。負担でかそう。」
「ふふっ、だれがきついのかしら?」
ハンナさん。なんで俺を見て言うんですか?




