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しあわせの国  作者: 狼眼
1章 しあわせの国・・グリフ王国・・

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楽しい食事

「ビルット、大丈夫か?肩貸そうか?」

「大丈夫、じゃないな。回復魔法をかけてもらったのに、まだあちこち痛い。」

「サンタスは?」

「血が出てないのが、不思議なくらいだ。」

「ギニン、お前は大丈夫・・・そうではないな。」

「思い出させないでくれ。」


俺と3人は、ゆっくりと食堂の扉をくぐった。店の中は、町の人が全員集まったかのような賑わいを見せており、そこかしこで笑い声が上がっている。

俺たちは開いているテーブルに座り、メニューを開く。来たときはメニューを開く暇さえも与えられなかったのに・・・。よっぽど暇だったんだな。


「そういえば、ここの飯の料金は、今日から精霊祭の間、男爵が負担してくれるようだな。」

「「そうか・・・。」」

「ならば!食い倒してやる!!」

「おやじ!肉だ!!酒だ!!」


3人の目がやばい。ここで復習をしようとでも言うかの様に注文を始める。

すぐにエールと干し肉が配られた。肉は時間がかかるのかな?

俺たちはとりあえずエールで乾杯し、一気に飲み干した。

「!」

「おっ!このエール、冷えてるな・・・。美味い。品質もいいのか?」

「もう一杯!お代わりだ!!」


予想外の美味い酒に3人の機嫌がよくなってきた。ま、食事は楽しくした方が体にもいいからな。

すぐに配られたエールで再度乾杯し、干し肉をかじる。


「あらあら、もう始めてるのね・・。ここ、良いかしら?」

「ハンナさん!来てたんですね。」

「さっきぶりね。」

「おい、アル!この女性、だれだ!」

「この人はハンナさんだ、そこの学院でちょっとお世話になって・・。」

「お前!!俺たちが死にかけてる時に!女と一緒にいたのか!?」

「いや、違うって、調べ物が・・・。」

「この野郎!!表に出ろ!!!」


サンタスが俺の胸ぐらを掴んで立ち上がる。ビルットも無言で立ち上がる・・・怖いって。

すると、隣の席のおっさんが急に血相を変えて割り込んできた。


「おいおい!やめろ!お前たちよそ者だな?この町でけんかを始めようだなんて、命知らずめ!」

「?なんだ!あんたにゃ関係ないだろ!!」

「そうだ!引っ込んでろ!」


サンタスもビルットも目が怖い。ギニン・・武器はしまえ。


「馬鹿言うな!この町で喧嘩をしたやつは、男爵に注意されるんだぞ?訓練所で・・・。」


おっさんの一言で、何かを察した俺たちは、ゆっくりと席に着いた。

明らかに俺以外の3人の顔色が悪い。


「分かってくれたか・・・。喧嘩をした本人だけでなく、止めなかった奴等も同罪だからな・・。」


気をつけろよ、と一言残しておっさん、いや、命の恩人は隣の席に戻っていった。

そんなやり取りをハンナさんは笑顔で見つめている。


「楽しそうでいいわね。」

「いま、死にかけたんですが・・・。」

「ふふ、楽しそうよ。いいわね。」

「だろ?こいつら楽しそうだろ?」

「あら、デュアル、来たのね。」

「遅くなったな。おい!酒だ!!」


男爵専属の様な給仕が酒と肉を提供する。俺たちの肉より、注文していない男爵の方が早いのか・・・。まぁ、そうなるよな~。


「よし、じゃ、改めて乾杯だ!」「乾杯!」

「「「乾杯!」」」

「いただきます!男爵!」

「おう、たっぷり食えよ!!」


俺たちの席で行われた乾杯に、食堂全体の客が反応し、全員での乾杯となった。男爵、人気者なんですね。


「で、ハンナさん、男爵とは親しそうですね。名前で呼ぶなんて・・・。」

「そりゃ、そうよ。だって。」

「夫婦だからね。」「夫婦だからな。」


「夫婦って、ハンナさんと男爵?ハンナさん、若すぎませんか?」


俺の言葉にパッと顔を輝かせるハンナさん。


「そう?そんなに若く見える?ん~。この子、私の弟子にしてあげようかしら!」

「よせよせ。お前の指導は常軌を逸しているんだ。ついていけたのはメグ位だろ?」

「「あんたもたいがいだがな!」」


男爵に突っ込みを入れる2人。もう、何かが吹っ切れたのだろう。

まぁ、似たもの夫婦って事だろうか・・・。

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