前夜祭
男爵との食事&歓迎会がひと段落となった所で、男爵とは一旦別れる事になった。今晩の宿を取っていないという事を話したところ、男爵の邸宅で泊めて貰えるらしい。
で、俺たちはコーギの行方という心配事から解放された事もあり、精霊祭の前夜祭を楽しむことにした。
「で、男爵はどこに行ったんだ?」
「さあね。お偉いさんだから忙しいんだろ?」
「お前ら、さっきはずっと話をしてただろうが、聴いとけよ。」
「お前こそ、ずっと食べっぱなしだったじゃねぇか!役に立て!」
「ビルット、アニキにはアニキの特別な理由があるんだ、文句言うな・・。」
特に、男爵に会って何かを話したり、急用があるわけではないが、急に消えたので気味が悪い。
だが、精霊祭というくらいだから、精霊にまつわる何かを行っているのだろう。だったら気楽に食べ歩きだな。
「おっ、鳥串か。・・・リンのやつ、大丈夫かな・・・。」
「なんだ、心配か?急な別れだったからな・・・。心配だからって、泣くなよ?」
いやらしい笑みを浮かべてビルットがからかってくる。
「そうだな・・・。お前のコーギ病みたいにはならないようにするよ・・・。」
「!な、何のことだ?友を思う心は、大切だよな。な。」
「サンタスゥ、コーギ病って大変だよなぁ?」
「・・・あれは、きついな・・。「てめぇ!コーギをどこにやった!」って、テンション高すぎるぜ。」
「おまえ・・後で「ママ」って弄ってやる・・。」
「てめ!寝言は忘れろ!」
「そういえばサンタス、お前、棍棒いかれただろ?手に入れておかなくていいのか?」
こういう不毛な言い争いはスルーするに限る。
「そうだな、もっとバージョンアップしないとな。」
「じゃぁ、武器屋を探しましょう!アニキ!!」
鳥串を買いつつ、店のおやじに武器屋の場所を聞くと、さっきの食堂の裏手にあるらしい。鳥串屋のおやじに礼を言いながら、来た道を戻る。
「ビルットはそのままか?」
「手持ちの金で買えるものなら買いたいけどさ、そんなに安い武器なんて使い物になるかよ?」
「そうだな、サンタスは金持ってるのか?」
「もちろんだ!金5はあるぜ!」
「俺より少ないし。そんな武器ねぇよ。」
「良いんだ。目途をつけなければ目標も持てないだろうが!」
「ま、正論だな。」
食堂の横を回り込み、(中の人たちに絡まれないように)裏手を目指す。
・・・デカいな・・・。5つの大きな建物の一つが武器屋なのか。
「ごめん下さい・・。誰もいないのか?」
一階のロビーには、数多くの武器が所狭しと並んでいる。また、中には高級そうな武器や鎧も棚に飾られている。どう見ても金5で買えるような武器は・・・木刀、くらいか。
サンタスは既にウキウキで武器を見て回っている。
「どうだサンタス、良い武器は有ったか?」
「今見てんだよ!まだしっくりこねぇな~。」
しかし、こんな大きな店で、店員もいないのか?昼休み・・・には遅い時間だが。
?二階から話し声が聞こえる。
「ビルット、上に行ってみよう。誰かいるみたいだ。」
「おう。」
店の右奥にある螺旋階段を上る。階段の壁にも武器が飾ってある。絶対この店のオーナーは武器マニアだ。普通の武器やでは見かけないような特殊な武器まで飾られている。
「だぁかぁら!これ以上の強化は無理だって言ったじゃないですか!」
「違う!俺は、隣の学院の力を借りて魔術付与してくれって言ったんだ!」
「で、ミスリルの剣は魔術付与が難しいんですって!」
「学院長なら出来るだろ!」
「私が頼むんですか?無茶言わないでくださいよ!」
「あの・・。男爵?」
「おぅ、ここにも来たのか?どうした、何か用か?」
「こっちのセリフですよ。ここで何してるんですか?」
「いやぁ、俺のミスリルソードをパワーアップさせようと思ってな。学院の力を借りて魔法剣にしようと思ったんだ。それなのにこいつは、出来ない出来ないばっかりでウンザリだぜ。」
「だから、私が学院長に言うより男爵が自分で言ってくださいよ。」
「お、俺が?・・・勘弁してくれ・・。それより!そう!お前たちは何しに来たんだ?武器選びなら手伝ってやるぞ!?」
あ、この人、話をはぐらかした・・・。




