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しあわせの国  作者: 狼眼
1章 しあわせの国・・グリフ王国・・

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事実の裏側

「森が、死滅?」


男爵が言うには、森の民は森にすみながら、山を神が降りる場所として崇め、山に踏み入ることは無かった。その山には宝珠が祀られており、宝珠の影響で周辺の精霊が安定していたという事だ。

その宝珠が奪われたことで、精霊の動きが変動し、山の怒りを誘発することになった。

俺たちが演習で上った山には腰の丈ほどの植物しか無かったが、あれも精霊の動きが関わっている様で、10年前は木々が生い茂っていたらしい。覚えてないな。


「で、魔獣を使役して宝珠の在処を探っているって事さ。」

「それが魔獣の大襲来って事か・・・。」

「あぁ、最近では、あまりに見つからないものだから、隣国まで影響が出ているらしいからな。この原因が王国にあると知れたら・・・戦争だな。多くの民がしぬ。」

「魔獣の大攻勢でも多くの民がしにましたがね・・・。」

「そうだ!あの戦いで大勢の民が死んで・・・。だから簡単に殺されない【しあわせの国】になったんじゃないのか?」


ギニンの一言で俺は思った。国の歴史では、魔獣との襲撃で多くの人の命が失われたため、人を殺さない政策、呪いによる記憶の消去が始まったはずだ。そんな根柢の所から俺たちは騙されていたのか?

王国の悪意の根深さには怒りがわいてくる。王国が起こしたトラブルを相手のせいにするなんて・・・。


「そうだな、だから俺たちが介入して、なるべく人に影響を出さないようにしてもらっているのだ。」

「あれで、手加減されているって、事ですか?」

「あぁ、本気を出していないからこそ、魔法の一撃で倒せるような魔獣を使っているんだ。その気になれば、ワイバーンやドラゴンを傀儡と化し、襲わせることだって可能なんだ。それだけ瘴気の力、影響は強いって事だ。」

「では、魔獣の大攻勢は、本当に宝珠を探しているだけ・・と、いう事なんですか。」

「そうだ。あの国を何とかしないと、諸外国の旅人や冒険者たちが記憶を消され、あの国の兵隊に成り下がってしまう・・・。お前たちの仲間のコーギみたいにな。」

「!!あっ、コーギ!!そういえばコーギはどうしたんですか?俺たちはコーギを解放しに来たのに、男爵の突拍子もない話で・・・。」

「突拍子もないとは・・。真実だ。彼女なら、実家の両親と一緒にいるはずだ。」

「両親?母親は重病だったのでは?薬を買いに来た・・と。」

「あぁ、森の民に治してもらった。もともと重病ではなかったのだ。精霊力の変動で体調が悪くなっていただけだ。薬では治らない症状だったのだ。彼女は持ち前のやさしさから、親の為に薬を探しに行ったらしいが、まさかグリフ王国に迷い込んで囚われの身となっていたとは・・。」


囚われの身。確かに。記憶を消されて、国のために戦う騎士を目指していたコーギは、長い期間その思考を囚われていたのだ。そんな国民が、はたして何人、なん十人居るのだろうか。


「暫くは、そっとしておいてやれよ?感動の再開だったんだ。精霊祭が終わるまでは家族水入らずでいいだろ?」

「そうですね。」


何年もの間、娘をなくしていた両親、記憶をなくしていた娘、暫くは俺たちの介入は無い方が良いだろう。

今日は精霊祭の前夜祭。明日から10日間の長い祭りが始まる。俺たちも全員王国に記憶を囚われていた身だ。ちょっとくらいは楽しませてもらってもいいよな。


俺たちはそのまま、男爵と一緒に食事をすることにした。驚いたことに、食べ始めようとした頃には、料理が半分も残っていなかったという事だ。男爵、サンタス、あんたらよく喰うね。肉ばっかり。

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