町の中央、大きな建物の中で
「ここに男爵がいるんだな?」
サンタスはまだ、投げ飛ばされたことを根に持っているようだが、大人しく行動してくれている。
中央の建物は5つあり、それぞれが何らかの役割を持っているようだ。
「あれは、神殿っぽいな。あっちは学院・・かな?。そっちは宿?宿舎?。!あれだ!あの大きな入り口のある建物。戦士っぽい人が出入りしている!」
「よし、行ってみるか!・・いいか、トラブルは起こすなよ?巻き込まれるなよ?冷静に、状況をよく見て判断するんだ。」
「さすがアニキ!」
「お前が言うのか?まぁいい。行こう!」
俺たちは、周囲の状況をじっくりと観察しつつ、大きな門の前まで来た。中からは騒がしい、賑やかな声が聞こえてくる。
「すごい賑わいだな・・・。これがこの町の訓練所か・・。」
「ビルット、落ち着けよ?ゆっくり入ろう。ゆっくり・・・。」
呼吸を整え、大きな門を押し広げる。すると、近くにいた大きな男が近寄ってきた。
しまった!早速絡まれた!!と思ったその時、既に俺たちは囲まれていた。
「はい!いらっしゃい!!4名様ご案内~!」
「こちらへどぅぞぉ~!」
「お食事ですか~?お酒ですか~?」
「お荷物はこちらへどうぞ~!」
「お食事ですか?お酒ですか?・・・それとも・・・冷やかしですかねぇ?!」
にこやかだった大きなおっさんが急に強面に変わる。
「お、お食事・・で・・。」
「はい!ありがとうございます!!」
「4名様、お食事どうぞぉ~!」
「お食事はお肉ですか~?お魚ですか~?お野菜系ですか~?」
「こちらへお座りくださいぃ~!」
「で、お肉ですか?!」
「は、い。」
「はい!お肉はいりました~!」
「4名様お肉どうぞぉ~!」
「お肉と一緒にお酒はいかがですか~?」
「お肉と一緒にスペシャルフルーツドリンクはいかがですか~?」
「で、スペシャルフルーツドリンクです、ね?」
「そ、れで・・・。」
「はい!スぺドリ入りました~!」
「4名様スぺドリどうそぉ~!」
大きなおっさんの笑顔と強面の二面相で思考が追い付かない。
気が付くと、テーブルの上は、肉の塊、スぺドリ、魚の串焼き、海藻サラダ、エール、ワイン、鳥の丸焼き・・・。あ、またスぺドリが来た・・・。もう、机の上に乗らなくなっている。
「やぁ、豪勢ですな~。」
「誰かのお誕生日ですか?」
「そんなに食べれるのか?無茶だろ?」
俺たちの周りにはとうとう観客まで付きだした。
「おい、アル・・・。食えよ?」
「サンタス、食えるよな?」
「ギニン、お前、細いんだからたんと食えよ?」
「ビルット、金、有るのか?」
「「「「マズイ!」」」」
清算でいくら請求されるか分からないくらい料理が運ばれてきている。
今までで一番のピンチかもしれない・・・。
「あの・・店員さん・・。いま、いくら位の料金ですか・・ね?」
「あ、ちょっと待ってくださいね!もうすぐ魚の煮つけが来ますので!!」
慌てて目を逸らす店員が、すぐに奥へ引っ込んでしまう。
「まずいな・・・。逃げるか・・?」
「この町でお尋ね者はまずいだろ・・。」
「じゃぁ、どうすんだ!」
「食うしか・・・無いのか・・・。」
「そうよ!食べなさいよ!!」
「おぉ、これもいける!」
「くっとけ!若いの!!」
なんか、いつの間にか、観客も料理をつまみ始めた。
「ちょ!お前ら!!勝手に食うなって!!」
「ハハハハ!」
「おいしいね~!」
「飲め飲め!」
「おぉ!俺も混ぜろ!!」
「この店の食べ物を食い尽くせ!!!」
「「「おおぉぉ!!!」」」
「!・・。あんた!・・・いつからここに居た?」
「お前たちが食い逃げしようとしている辺りかな?」
気が付くと、俺の斜め後ろで、あの大男、辺境の地リーフの領主、デュアル男爵がそこにいた。
めっちゃ肉を頬張りながら・・・。




